現場リポート REPORT

屋根下地


こんにちは。
現場監督の丹羽政雄です。


本日6月6日、お休みを頂いております。

家内と二人で人生初の人間ドックを受診します。

数か月前から私の誕生日に決行しようと計画していました。

そうなんです、実は今日は私の誕生日です。
晴れて42歳になりました。


さて、岐阜市で建築中の「ふかし軒理まる家」は先日上棟式を迎えました。

上棟式は木造建築の大きな節目ではありますが、翌日も休むことなく工事は続きます。

建て方の応援に来てくれた大工さんにしばらく残ってもらい、引き続き耐力面材を張りました。


そして新しい職人さんも現場に入ってきました。
瓦屋さんです。

建て方工事の進捗目標にしていた屋根防水紙までがしっかり完了しましたのでテンポよく屋根工事が始められます。

今回は瓦葺きを語る前に、屋根下地について紹介したいと思います。

ほどなくして瓦の下に隠れてしまう屋根下地にこそ、私たちの想いが込められています。


まずは屋根用の防水紙「ルーフィング」。

工事現場でよく見かけるのは黒色や緑色の「ゴムアスルーフィング」です。

ゴムとアスファルトが主原料の防水紙です。

一方、「中島とつくる家」では瓦屋根にはこの白いルーフィングを標準採用しています。

「透湿ルーフィング」といいましてその名の通り屋根の防水紙でありながら湿気を透す性能があります。

水の粒子よりも小さく水蒸気の粒子よりも粗い不織布でできています。

商品名はセーレン社の「ルーフラミテクトRX」です。



暑さ寒さや、雪や雨、そして湿気にさらされる屋根は時折とても過酷な条件になります。

そんな中でルーフィングの裏側が結露することがあります。

ルーフラミテクトはそんな湿気を上部に放出するので、湿気による屋根野地の腐食などが劇的に軽減します。



また間近でよく見ると実は少しキラキラ光っています。

表面にアルミが蒸着されていて遮熱効果もあります。

とはいえ、個人的にはそれほどの効果はないような気もします。


ルーフィングの上には、流れ方向に木質の棒を打ち付けます。
「紙押え」といいます。

ルーフィングを押さえるのでそう呼ばれますが、万が一、瓦の下を潜った雨水をルーフィングの上で滞りなく軒先まで流れさせるための隙間を確保するのが専らの役割で、とても重要な部材です。



その上に取り付けてあるのが「瓦棒」。

「中島とつくる家」の瓦葺きは、葺き土を使わない乾式工法です。

葺き土を使う湿式工法は屋根が重くなる上、防水性能が確保しにくく、私たちは採用しません。

紙押えと瓦棒が織りなす縦と横が格子状に整然と組み合わさった様は、覆ってしまうのがもったいないぐらいです。



先ほど透湿ルーフィングによる屋根の透湿性能を説明しましたが実はこだわりどころがもう一つあります。

屋根の防水層と断熱層の間の空気を動かす「通気工法」を採用しています。

軒先付近で取り入れられた外気が屋根面で温められ上昇し、棟にある換気部材より放出されます。

暑い夏の日の屋根面の熱を室内に伝えないしくみであると同時に、室内で発生し屋根に入った湿気を滞りなく抜くしくみでもあります。



外壁における通気層はこの20年あまりで業界のスタンダードとなりましたが屋根通気に対する認識は比較的低いように感じます。

しかし先ほど述べました屋根面の過酷な条件を考えると、壁通気以上に屋根通気の必要性は高いと思います。

「中島とつくる家」では、瓦葺きの乾式工法、ルーフィングの透湿性能、そして屋根通気により、屋根の寿命を担保しています。


丹羽政雄