現場リポート REPORT

屋根瓦


こんにちは。
現場監督の丹羽政雄です。

昨日発生した大阪府高槻市を震源とする直下型地震で亡くなられた皆様には、心よりご冥福をお祈り致します。

また被災された皆様にはお見舞い申し上げます。

亡くなられた4名のうちの一人は9歳の女の子で、同年代の娘がいる私にとって身につまされる思いです。

その上建築基準法違反のブロック塀の崩壊が原因となればなおのことです。

人命を守ることもできれば、奪うこともあるのが私達の仕事であると再認識しました。


さて、岐阜市で建築中の「ふかし軒理まる家」では、梅雨時らしからぬ晴天に恵まれ、順調に瓦工事が完成しました。

そこで今回は、屋根瓦について紹介したいと思います。
 

中島工務店の中部管轄の新築物件では、8割ぐらいで瓦屋根を採用しています。

設計意図としてまずは瓦屋根を標準と考え、屋根勾配や意匠の検討の中で板金屋根に入れ替えるといった具合です。

瓦の素材には、大きく分けて「いぶし」と「陶器」があります。

日本家屋の瓦の大半は陶器瓦です。

表面に釉薬(ゆうやく)を塗って焼成する瓦で、中身はレンガ色です。
 


一方いぶし瓦は、その名の通り艶のない灰色です。

こちらは中身も表面とほぼ同じ色です。

陶器瓦に比べ焼成温度が高く寿命が長いとされています。価格も割高です。
 


次に形状。
「中島とつくる家」では、昔ながらの和型が根強いですが、最近採用が増えているのが「平板瓦」(へいばんがわら)です。

以前の妻部分の瓦(袖瓦)は一般部分の瓦(平瓦)とは形状が違い、あたかも屋根を縁取るようなデザインになっていましたが、数年前に、平瓦と似た形状の袖瓦「一体袖」を採用するようになって、平板瓦の持ち味のシャープな印象がさらに増しました。

「ふかし軒の家」では、南側に葺き下がった大きな屋根をこの平板瓦+一体袖でスッキリみせるのが特徴です。
 


そして施工。
「中島とつくる家」では、瓦全数をステンレスビスで留め付けることを標準としています。

つい数年前までは、平部の瓦は2枚に1枚を緊結するのが一般的な工法でしたが、私たちは1995年に発生した阪神淡路大震災の直後に支援に向かった被災地で、屋根から崩れ落ちた瓦を目の当たりにしました。

地震大国日本で数十年耐える屋根を作ろうと始めたのが、この瓦全数ステンレスビス留めです。



地震から一夜明け、被災状況が続々とメディア報道されています。

「今のところ」ではありますが中島工務店が手掛けた大阪近郊の建物で瓦が落ちたという情報は入っていません。

これも20余年前から頑なに守ってきた瓦全数ビス留めの成果といえます。


丹羽政雄