現場リポート REPORT

耐震性能



梅雨の時期とはいえ
今年はなんと雨の多いことでしょう。
 
「城田寺のいえ」ではその影響で
外部の工事が足踏み状態となっています。
 
内部は棟梁が丁寧に
仕上げてくれていますので
順調に進んでいます。
 
早く梅雨が明けてほしいと
願うばかりです!
 
さて今回は、
前回の断熱性能に続いて
耐震性能のリポートをしたいと思います。



 

基礎配筋



耐震性能で重要なところというのは
大体見えなくなってしまう部分ですが、
建物を支える基礎は
特に重要な部分と言えるでしょう。
 
「城田寺のいえ」の基礎の仕様は
ベタ基礎です。
今や当たり前の基礎形式です。
 
許容応力度計算に基づき
コンクリート強度と
鉄筋の種類を決めていきますが、
コンクリートは設計基準強度=Fc-21N/m㎡
鉄筋はSD295Aで設計しました。
 


許容応力度計算によると
ベース配筋はスパンによって異なりますが、
ベース筋は長辺短辺共にD13@150で統一し
鉄筋の継手も40D(520mm)以上確保。
 
ベタ基礎ベースの
コンクリート厚は150mmです。
 


立上り筋はD10@200、
上端主筋と下端主筋は共に
D13としてあります。
 
外周部の根入れ深さは250mm、
立上り基礎の幅は150mm、
立上り高さは400mmです。
 


基礎全体の配筋が完了した段階で
住宅瑕疵担保履行法に基づく
検査を実施します。
 
検査は保険の引受けを行う
日本住宅保証検査機構「JIO」が実施し
結果は適合。
 
ここでは設計通りの耐震性能を満たした
施工がされているかを厳しく検査します。



 

床合板



次に建物の骨組みにあたる躯体の部分ですが
まずは水平構面の仕様を説明します。
 
水平構面は2階床面、1階屋根面、
2階屋根面がありますが、
それぞれ仕様は異なっています。
 


2階床面は構造用合板24mm、
根太なし直張り川の字釘打ち、
釘はN75@150で施工。
 
床倍率1.2。
 


1階屋根面は4寸勾配にして
構造用合板12mm、
垂木@455mm転ばし、
釘はN50@150で施工。
 
床倍率0.7。
 


2階屋根床面は構造用合板24mm、
根太なし直張り川の字釘打ち、
釘はN75@150で施工。
 
床倍率1.2。


特に釘の種類とピッチは重要になります。
 
あらかじめ所定の間隔を記した
“モノサシ”に沿って
釘を打ち込んでいきます。



 

耐力面材



続いて垂直面の仕様を説明します。
 
「城田寺のいえ」は外周部は全て
耐力面材で壁量を確保しています。
 


耐力面材にもいろいろありますが、
ここで採用したのは
“ハイベストウッド9mm”です。
 
“ハイベストウッド”は
せん断強さが構造用合板の約2倍の
高耐水MDFです。
 
壁倍率2.5倍~4.0倍まで確保できる
構造用面材ですが
今回は4.0倍を採用しました。
 


壁倍率4倍の釘の仕様はCN65、
外周部@100mm、
中間部@200で施工。
 
防腐、防蟻処理もされています。



 

筋交い



垂直面の補強材として
従来から使用されている
筋かいも併用しています。
 
大凡の耐力は建物外周面の耐力面材で
確保されているのですが
内壁に筋かいを採用することによって、
建物全体としてさらに
バランスの良い耐力壁の配置になります。
 


中島工務店では筋かいにも桧を使います。
もちろん“東濃ひのき”です。
 
壁の厚さによって
筋かいの厚さも変えているので
45mmと30mmの2種類を設置してあり、
壁倍率はそれぞれ45mmが2.0倍、
30mmが1.5倍となります。
 
写真のように45mmの筋かいを
ダブル(たすき掛け)にすると
壁倍率は4.0倍になるわけです。
 


筋かいには専用の“筋かい金物”を設置して
所定のビスで止め付けなければいけません。



 

ホールダウン金物



耐力壁は引き抜きにも
耐えられなければなりませんが、
接合金物の選定はN値計算で行います。
 
N値計算とは
引張耐力がその部分の
必要耐力以上であるかを確かめ、
柱頭と柱脚の接合金物を選定する手法です。
 
ホールダウン金物は
耐力壁の位置やその壁量によって
15KN~35KNまでの種類から選定します。
 


基礎から土台を貫通して
柱に緊結されたホールダウン金物。



柱とその上階の桁を緊結した
ホールダウン金物。
 
「城田寺のいえ」では耐震のほかに
制震装置も設置しました。
 


住友理工の制震装置“TRCダンパー”です。
 
壁に入った地震エネルギーを
特殊粘弾性ゴムが吸収して
揺れや加速度を抑えることができ、
建物の倒壊、変形も抑えて
繰り返しくる余震にも
高い効果が期待できる装置です。
 
「城田寺のいえ」では
家づくりのテーマでもある
“価値ある財産を残す”という想いから
これを採用しました。



 

躯体検査



基礎の配筋検査同様、
耐力面材や金物設置が完了した段階で
住宅瑕疵担保履行法に基づく
検査を実施します。
 


ここの検査も保険の引受けを行う
日本住宅保証検査機構「JIO」が実施し
結果は適合。
 
設計通りの耐震性能を満たした
施工がされているかを厳しく検査します。
 


JIOの検査員と現場担当の前田安一郎監督、
お疲れ様でした。
 
 
完成して仕上がってしまうと
見えなくなってしまうところほど
重要な部分です。
 
中島工務店はそういったところほど
是非見ていただきたいと常々思っています。
 
自慢できる美しい構造材に
これらの性能が加わり、
そして真心こめて造り上げる。
 
これで安心して
仕上げ工事に向かって行けます!
 
 
次回は雨で遅れている
外壁工事をリポートしたいと思います。
 
どうぞお楽しみに!
 
 

 
設計・監理 小林尚長