現場リポート REPORT

屋根工事


2020年4月30日に
上棟式を終えた「城田寺のいえ」は、
すぐさま屋根工事に取り掛かりました。
 
「城田寺のいえ」は
中島工務店の家づくりでは
数少ない“寄棟(よせむね)”という形状です。
 
これはお施主様の強いご要望で、
屋根形状は寄棟で
瓦は平板瓦でとのことでしたので、
ご提案時よりそのように
設計をさせていただきました。



 


まずはルーフィングを紙押さえで留め付け
“瓦桟”となる下地取り付けのための
墨出しをします。
 
ここで流れ方向の瓦を割り付けるのです。
 


そして最初に
水下側の軒先部材“広小舞”を取付け、
墨に合わせて瓦桟を取り付けていきます。



“瓦桟”は水下側から取り付けていきます。
 
この“瓦桟”の役割はステンレスビスで
瓦1枚1枚を留め付けていくための
下地になります。
 


棟には棟換気部材の
“ザ、換気Ⅱ”(浅野化学)を使用しています。
 
これは“切妻(きりづま)”形状の屋根でも
同様で棟換気として標準採用としています。
 
ただ“寄棟”は棟の水平距離が短く
必要な換気量を確保できないため、
小屋裏換気扇を併せて設置しました。
 


採用したのはSEIHOの
“風之介ブロアー”主に熱気対策用です。
 
システムコントローラーで
小屋裏の温度を感知し
自動で入切の切り替えをしてくれます。
 


下屋の小屋裏換気部材は
“ゲヤピア”(ふたば商事)です。
こちらも標準採用。
 
瓦の形状に関係なく使用できるので
和瓦、平板瓦、S瓦でも
難なく取り付けられます。
 
ここまでは瓦を葺くまでの準備段階です。
 


2020年5月連休明け
 
新型コロナによる緊急事態宣言は
この時はまだ解除されていませんが、
晴天のもと、瓦揚げが始まりました。
 


瓦揚げ用昇降機で
一気に瓦を屋根に揚げていきます。



使用する瓦は“F FLAT”(新東)の平板瓦です。
色は銀黒。重みのある深い色をしています。
 
いぶし色より黒っぽい銀色で
重厚感があるので多く採用される色です。
 


“寄棟”の象徴として
以前は隅棟を採用していましたが、
今は“廻り隅瓦”を標準としています。
 
棟に冠のように被せるのではなく
平部と同一面で納まるので
一体感がありスッキリします。
 
少々割高になりますが
その価値はそれ以上のものになります。
 


当然ですが、
瓦は水下側の軒先から葺いていきます。
 
軒先先端の“広小舞”と“瓦桟”に瓦を据え、
1枚1枚丁寧に位置を決め
ステンレスビスで取り付けます。
 


軒先が一直線に揃いました!
 
下から見上げると
このラインがよく見えますので
特に神経を使うところです。
 


軒先から葺き始めた瓦は
頂点の棟に向かって
1枚1枚丁寧に葺いていきます。
 
“切妻”の場合は一列ずつ
順番に昇っていきますが、
“寄棟”の場合は渦を巻くように回りながら
棟に向かって昇っていきます。
 


下屋には“谷部”がありますので
瓦を葺く前にガルバリウム鋼板で
加工して取り付けていきます。
 
ここは板金屋さんの仕事。
手際よく分担して作業を進めます。
 


大屋根に続いて下屋も同じように
軒先から瓦を葺いていきます。



下屋と壁が取り合うところは
“のし水切り”を取り付けますが、
その下地は木材を加工して
大工さんが取り付けていきます。
 


“谷部”と“のし水切り”が
綺麗に納まったところで
屋根工事は完了です。
約2週間の工程でした。
 
“寄棟”は“切妻”に比べて
より多くの手間と時間がかかります。
なのでその分やり甲斐もあります。
 


手前にある突起物は何だと思いますか?
これは“雪止め瓦”です。
 
雪止めって
多雪地域だけ使用するものと
思われがちですが、
そうではないのです。
 
たまにしか雪が降らない地域の方が
屋根に積もった雪への意識が低いうえ、
すぐに雪が解けて落雪し易く
危険性も高いので、
中島工務店の家づくりでは
屋根形状や屋根の仕様に関係なく
原則として設置しています。
 


どうぞ葺き上がりをご覧ください!
“廻り隅瓦”が一直線に
棟に向かって揃っています。
 
平板瓦が重なる横のラインが強調されて
とてもスッキリして見えます。
 


縦、横、斜め!
どこを見てもピッタリ揃っていて
気持ちいいです。
 
このアングルで撮れるのは
工事関係者の特権ですね!
 


「城田寺のいえ」は屋根工事が完了し、軒先から軒裏の仕上げ、そして樋の取付けへと進みます。
 
サッシの取り付けも完了しましたので、順次外壁の仕上げへと工程は進んでいきます。
 
仮設足場が解体されてベールを脱ぐ日も近づいてまいりました。
 
 
 
次回は建物の性能の部分である
断熱工事をリポートいたします。
 
どうぞお楽しみに!
 
 

 
設計・監理 小林尚長