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設計

書斎設計時の注意点とおすすめ


 
住宅建築のプロが納得できる
家づくりのヒントをお話しするブログ。

今回のテーマは『書斎』です。

書斎ってやっぱりちょっと憧れますよね。

家づくりのご相談の中で
「書斎がほしい」という
リクエストをいただくことはよくあります。

書斎といっても、
1人で使うケースもあれば
家族で共有するケースもあり、
個室もあれば
家族スペースの一角など様々です。

設計打ち合わせのプロセスで
「だれが、どんなふうに使いたいか」を
お聞きしながら決めていくのですが、
改めて考えてみると
「どんな書斎が自分たちに
向いているのかわからない」
なんてこともあります。

というわけで、
今日は書斎のつくり方について
中島工務店の施工事例画像を交えながら
ご紹介します。

広さや配置の考え方と事例、注意したい点や
こうしておくといいというアドバイスなど
ぜひ参考にしてみてください。



目次


1.事例①家族スペースの中につくる
2.事例②家族空間とつながった場所
3.事例③個室
4.事例④和室の活用
5.書斎をつくるときに検討してほしいこと
6.注意したいこと・おすすめのもの
7.集成材の造作カウンターのお値段


 

 


どんな風に考えればよいかという前に、
まずは事例を確認していきましょう。

実際の例を見た方が
イメージが湧きやすいですからね!

まずは家族スペースの一部に
書斎をつくったケースです。

家族で共有する場合や、
誰か1人が使うにしても
「家族のそばにいたい」という場合には
このパターンになります。
 
たとえば、こちらは
リビングの一角に設けた事例です。

ご主人が1人で使うスペースですが、
LDKの一角、ダイニングのカウンターの
一番奥が書斎コーナーです。

パソコンやプリンタを置くための
棚と収納も造り付けました。

小さいなぁと思われるかもしれませんが、
意外と収納力があり、
手の届く範囲に必要なものが置けるので
使いやすいそうです。

こちらはLDKの一角を
ゆるやかに区切って
書斎コーナーにした事例です。

およそ2帖のスペースに
造り付けのカウンターと書棚を
設けています。

LDK全体でみるとこんな位置関係です。
 
こちらも家族が寛いでいる傍らで作業する、
といった使い方ですね。
家族のそばで作業したい場合は、
このように家族スペースの一部に
つくるのがオススメです。

このケースでは
家族空間の方が優先されることが多いため、
あまり収納量たっぷりとはいきません。

仕事スペースとして
もっとたくさんの書籍や
書類の保管場所が必要、
あるいは趣味の空間として
もっと広くないといけないという場合には
もう少し独立したスペースを
考えた方がよいでしょう。

また、当たり前ですが、
家族の声やテレビの音、
料理や掃除などの家事に伴う音が
すぐ近くに聞こえます。

「それがいい」と思える方でないと、
このタイプの配置は難しいでしょう。

 

 


LDKの一角ほど
家族空間の中ではないけれど、
家族の様子がわかる距離に
書斎を設けることもできます。

ある程度集中したいけれど、
家族の気配も感じていたいという人に
おすすめです。
 
距離のとり方によって
いろいろな配置があり得るので、
順番に見ていきましょう。

こちらはリビングの吹き抜け上部を
書斎にした事例です。
 
上部の柵の向こうが書斎です。
カウンターだけを造り付けた
シンプルな空間で、
家族で共有するようにつくられています。

こちらはリビングの隣に
壁を隔てて書斎を設けた事例です。

左端に少し見えている
畳のスペースがリビングです。

広めのカウンターと収納棚をたっぷり、
さらにカウンター前には
コルクボードを張って
いろいろ貼れるようにしています。
 
カウンター・書棚を含む面積は約3.5帖。

家族スペースに隣接していますが、
しっかりとした書斎という印象ですね。
スキップフロアを活用した事例もあります。
 
右下の低い位置に見えているのがLDKで、
画像中央の階段を上がると
寝室・個室につながっています。

大きな窓があって明るいのも特徴です。
もう少し家族スペースから離れた
事例がこちら
 
2階の階段を上がった奥に
オープンな共有スペースとして
設けています。

この位置なら壁と扉をつければ
十分個室になりますが、
あえてオープンにして
家族とのつながりを持たせています。
 
広いカウンターと可動式の棚を
たっぷり造り付けました。

LDKなどの一角に設ける場合と比べて、
音や気配は感じるけれど
姿は見えないのがこのタイプです。

注意したいのはやはり音です。

吹き抜けの上や階段の上も、
意外と下の音が響くことがあります。

誰が何をするのかにもよりますが、
音が気になる人が使うなら
次に紹介する事例のように
もっとしっかり仕切った方がよいでしょう。

 

 


続いて、独立した個室としてつくった
事例を見ていきましょう。

こちらの事例は、
3帖の個室にカウンターと可動式の棚を
造り付けました。
 
適度な明るさで、
落ち着いて作業に取り組めそうですね。
当社事例の中でも
かなり広い書斎をつくったのが
こちらのケースです。
 
8帖の個室に大きな書棚を造り付けました。
ソファーを置く前提で設計しており、
木に包まれた明るい空間で
仕事や趣味にじっくり向き合えます。

書斎をかなり重視したプランです。

寝室の続きにつくるのも便利です。
画像の奥に見えるのが寝室です。
 
造作カウンターに洗面台も造り付けて、
書斎としても身支度のスペースとしても
使えるようにしました。

ロフトを書斎にした事例もあります。
 
籠っている感が強く、
ちょっと秘密基地みたいで
憧れる方も多いです。

広さは約12帖とかなりゆったりしており、
収納を兼ねることもできます。
やはり集中したい、籠りたいなら
個室に限りますね。

とはいえ、真ん中の事例のように
広々とした個室を確保できるとは
限りません。

何をしたいかによって、
最低限どのくらいの大きさが必要かを
考えてみましょう。

 

 


少しめずらしい事例として、
当社モデルハウスをご紹介します。
和室の一部を書斎にしたものです。

画像の左の方に
障子付の丸窓がありますが、
その下のカウンターを
書斎コーナーとして設計しています。

画像ではわかりにくいですが、
その部分は掘りごたつ式になっていて
下に足を下ろすことができます。

和室らしい落ち着きが感じられる空間で、
普段はあまり使わない和室を
有効活用している例でもあります。

書斎として一室とるのは難しい、
でも家族スペースとは
区切られた場所がほしいというときには
検討してもよいのではないでしょうか。

 


家族との距離感や広さ、
棚などの仕様を見てきました。

ここまででなんとなく
わかっていただいたと思いますが、
書斎を考えるときには
次のような項目を検討すると
よいでしょう。

□ 使う人
・1人
・ご夫婦や父と子など家族の一部
・家族全員 など

□ 何をするのか
・仕事
・趣味
・勉強 など
 
□ 必要なもの
・デスク
・カウンター
・書棚
・LANやWiFi等PC関連の設備
・電源
・収納 など

誰が何をする場所なのかを考えると、
おのずと必要な広さや
家の中での位置が決まってきます。

次に家族のそばにいたいのか、
籠りたいのかを考えましょう。

家族の気配を感じていたいなら
共有スペースを、
籠りたいなら個室を前提に
考えていくことになります。

 

 


次に、書斎を考えるにあたって
注意しておきたいことをお話しします。

まずは明るさ。

この記事でご紹介した事例でも、
かなり明るそうな空間から
やや暗めの空間までいろいろありました。

自分が落ち着く明るさがよいですが、
本を読んだりパソコンに向かったり
作業したりする空間なので、
できれば明るさを確保した方が
よいでしょう。

窓の付け方に関する規制や照明の考え方は
こちらの記事をご覧ください。
新築住宅の窓の付け方
多灯分散ってなに?

先ほど検討しておきたい
「必要なもの」として
電源やLANなどを挙げましたが、
用途によってどこにどのくらい必要か
よく考えて備え付けておきましょう。

電源やPCまわりの機器に
必要なものが適切な場所に
あるのとないのとでは、
使い勝手がずいぶん違ってきます。
換気扇を取り付けておくのもおすすめ。
 
特に絵を描く、プラモデルをつくる
といった用途の場合は
ほとんど必須といってもいいでしょう。

紹介した事例にもありましたが、
コルクボードなど
いろいろ貼れる壁面があると便利です。
用途によっては有孔ボードもおすすめ。
 
「掲示板クロス」という
画鋲を刺したり
チョークで書ける壁紙もあります。

掲示板クロス
画像はサンゲツ様カタログより拝借
いろいろご紹介してきましたが、
最後にもうひとつ、
大事なことをお伝えします。

それは・・・
書斎がほしいなら最初に
「ほしい!」とはっきり言って、
優先事項のひとつにしましょう。

家族が暮らす家ですから、
どうしてもリビングなど
家族スペースや水廻りが
優先されることが多くなります。

するとどうしても
書斎の優先順位は下がってしまい、
場合によってはなくなってしまうことも。

全体のバランスの中では
やむを得ないこともありますが、
「書斎がほしい」と本気で思うなら
優先的に検討するように
家族にも住宅会社にも
はっきりと伝えましょう。


 


今回ご紹介した事例のほとんどに
造り付けのカウンターがありましたね。

書斎にデスクは付きもので、
棚と一緒に造りつけてしまうと
とても使い勝手がいいですし、
狭いスペースほど造り付けの方が
広く使えたりもします。

そういうわけでとても人気で、
お値段を聞かれることもしばしば。

特によく採用される集成材の場合について
お答えします。

奥行60cm×幅180~200cmの場合
(だいたいこのくらいあれば
十分と言われる方が多いです)
1~2万円です。
参考にしてみてください。
 
※集成材
板材または角材を接着剤で貼り合わせたもの。
集成材のカウンター