現場リポート REPORT

阪南鈑金工作所 佐々木尚人



「板金屋です」というと
「自動車の修理ですか?」と
言われることがよくあります。

大工さん、瓦屋さんなどは知っていても
建築の板金屋さんはよくわからない、
という方が多いのかもしれません。

私たち板金屋は主に、
屋根や壁、雨樋などの工事を行います。

それ以外にも、
壁と屋根の取り合い部分のような
水仕舞が必要なところ、
瓦だけでは納めきれないところ、
左官屋さんが狭くて塗り切れないところ
(我々も狭いのは同じなのですが・・・)
とにかく納まりがややこしいところなど。

好きなサイズ・形に加工できる板金は
使い勝手がよく、
様々なところで活躍しています。




私が家業である板金屋を始めたのは、
少し遅くて26歳のころでした。

大学卒業後は、
一般企業に就職したものの長く続かず、
いくつか勤務先を変え、
最後にたどり着いたのがこの仕事でした。

しかし、いざ始めてみたところ、
とても自分に合っていることに気づきました。

夏は、暑さに死にそうになりながら、
冬は、寒さに凍えながら作業をする。
仕事環境としては最悪です・・・。

でも、貼り終えた屋根を見れば
達成感が得られ、
練習を繰り返せば出来栄えに現れ、
想定した寸法通りに加工ができれば、
気持ちよくスッと収まる。

大変なことも多いですが
私にとっては心地よく、
初めて楽しいと思える仕事に
出会うことができました。

スタートが遅れた分を取り戻すべく、
師匠でもある父親に教えてもらいながら
毎日終業後の練習を続けられたのも、
楽しかったからだと思います。



中島工務店で初めて仕事をさせて頂いたのは、
この仕事を初めて3年目のころでした。

別の業者さんからの紹介で、
舞子の現場で引き合わせていただき、
気づけばもう15年もの
長いお付き合いをさせて頂いています。

当時、私はようやく
仕事を覚えてきたくらいの時期でしたので、
新しい得意先が増えてよかったなぁ、
程度の思いでした。

しかし、いろいろな現場で勉強させてもらい、
様々な経験をし
また、2021年に代替わりをして代表となった今、
15年前の出会いがどれだけ貴重で
ありがたいものだったかと
今更ながら感謝の気持ちでいっぱいです。

今でも、舞子公園のそばを通ると
当時のことを思い出します。

舞子・武藤邸


弊社はもともと寺社仏閣の屋根や樋の
銅板工事を主に行ってきました。

社寺の屋根は曲線や装飾的な部分が多く、
そこで必要とされる知識や技術を
培ってきました。

例えば、銅板を叩いて伸ばしたり、縮めたり、
曲線に加工したりといった具合です。

そのため、ほかの板金屋さんに比べ
「手加工」という部分に
少しこだわりをもっています。

それらの技術がそのまま
住宅屋根に適用できるわけではありませんが
弊社だからこそできるよりよい施工を心掛け、
日々お仕事をさせて頂いています。


大蔵院


好きなサイズ・形に加工できる
という板金の特性を、
もっとより発揮できるように
まだまだ頑張って
技術を磨いていこうと思います。

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。