現場リポート REPORT

中島工務店 原正成




01 大工を志して



なぜ大工になりたかったの?
と聞かれることがよくあります。

正直、宮大工になりたいとか、
自分の家を自分で建てたいとか
強い志があったわけではないです。

大工だった祖父を見て、
大工って面白そうでかっこいいな!
くらいのゆるい志で
この業界に入れてもらい
15年目になります。

考えが甘かったなと
くじけそうな時もありましたが
中島工務店ではたくさんの方々から
刺激をいただき、
色々な経験をさせていただきました。

今では、
社寺建築ももっと勉強してみたい!
住宅新築も改修工事も頑張りたい!
新しい工法も挑戦してみたい!
家具も作ってみたい!

大工職という職業の奥深さに
すっかり魅了されています。


02 自信へと繋がった加子母子屋モデルハウス



棟梁になるタイミングって
いつなんだろう?

伸び悩んでいた私に
チャンスがやってきました。

彩都やまもり加子母子屋棟の新築工事で
棟梁を初めて任せていただきました。

いつもお世話になっている
師匠や先輩方の棟梁となり
指示しての建て方作業。

自分メインで作業する造作、
初めての階段掛け。

工事中の責任感や緊張感は
完成した時には
大きな達成感と自信となりました。

これが私の棟梁としてのスタートです。

彩都やまもりを訪れると
当時の記憶がよみがえります。
彩都モデルハウス建て方風景
彩都モデルハウス建て方風景



03 受け継がれる技術



大工の道具は昔から、
鑿、鉋、鋸を使います。

電動工具が日々進化する今の時代でも
みな鑿、鉋、鋸を使って仕事をしている。

それは先人の方々が代々、
木の加工に優れた道具や技法を
研究してきたからだと思います。

私も先輩の方々から道具の手入れ方法や
木材加工の技法を学びました。
まだまだ勉強したい技法もあります。

次は私が後世へ伝える番です。

大工を志した後輩たちに少しでも
プラスになるよう技術を伝え、
後世へと繋いでいきたいです。

祖父から受け継がれた、今でも現役の道具



04 裏木曽の東濃桧



私の出身は加子母と同じ
裏木曽三ケ村の旧川上村です。

中島工務店に入社して
大工という職業につき
関西に来るまで、
私の中で故郷の山の桧は
ただの桧でした。

自分で加工して
他の桧や木材と比べて
やっと裏木曽の東濃桧の
価値の高さがわかりました。

また国有林の天然木は関西では
尾州材と呼ばれとても貴重です。

呼び名から私たちの地方が
江戸時代尾張徳川藩の領地だったことが
今でもわかります。

村の奥地の国有林は
とても大切な場所でした。

生まれてからずっと
桧の村で暮らしているのに、
大人になってやっと私の先祖や村は
桧で生きてきたことを理解しました。

故郷を離れて大工になったからこそ
知ることができました。

大工歴も10年を超えましたが
初心を忘れず、向上心を持って
仕事と向き合いたいです。

裏木曽出身の中島工務店の
「ごとむし」として
裏木曽の良質な東濃桧に負けない
技術を磨き続け、
お客様の笑顔になれる建物を
これからも築いていきたいです。

これからもよろしくお願いします。
川上国有林