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設計

施主支給はこうすればうまくいく

住宅建築のプロが納得できる
家づくりのヒントをお話しするブログ。

今回のテーマは
「施主支給」です。


施主支給とは
住宅設備機器や建材などを
お施主様が自分で購入して
住宅会社・工務店に支給することです。

通常、住宅設備機器等は
住宅会社の納入ルートを通じて
メーカー→代理店→現場へと届けられ、
費用は取付費なども込みで
建築費の一部として
住宅会社からお施主様に請求されます。

この流れに乗らず、
お施主様が品物だけ自分で購入して
現場へ届けるのが施主支給
です。

品物の代金はお施主様が購入先に支払い
現場への運搬もお施主様(購入先)が手配し
取り付けだけを大工や設備業者、
メーカーの施工業者が請け負います。
 
最近は「好きなものを選びたい」
「コストダウンしたい」といった希望から
施主支給を検討する人が増えています。

ネット上では
施主支給のメリット・デメリットを
まとめた記事もたくさん見られ、
コストダウンできるという意見もあれば
かえってコストアップになる
という意見もあります。

結論から言うと、
施主支給は必ずしも
コストダウンになるとはいえませんが
コストダウンにつなげる方法がある

というのが実情です。

ポイントは、
何をどこまで自分たちでやるのか、
住宅会社とどんなふうに連携をとるのか
です。

今回は施主支給に向いているものを
具体的に取り上げ、
それぞれについてどのようにすれば
コストダウンできるのかをご紹介します。


目次


1.施主支給に向いていないもの
2.施主支給に向いているもの
  ①手洗い鉢(向いている度★★★★☆)

3.施主支給に向いているもの
  ②照明器具(向いている度★★★★☆)

4.施主支給に向いているもの
  ③カーテン(向いている度★★★☆☆)

5.施主支給に向いているもの
  ④エアコン(向いている度★★★☆☆)

6.施主支給に向いているもの
  ⑤家具(向いている度★★★★☆)

7.施主支給するときのそのほかの注意点と
  住宅会社に相談したいこと


 


 

施主支給に向いているものをご紹介する前に
向いていないものをまとめておきましょう。

施主支給に向いていないのは

配管・配線などが複雑で
住み始めてから故障した場合に
原因の追究が難しいケースがあるもの


です。

具体的にいうと、
システムキッチンやユニットバスの
施主支給はおすすめできません。

システムキッチンやユニットバスは
配管などが複雑で、設計段階から
メーカーと住宅会社の連携が必要ですし、
住み始めてからも故障する恐れがあります。

通常通り住宅会社を通じて
購入・施工した場合、
故障しても建築業者が責任を持って
対処してくれます。

ところが、施主支給だと
モノに問題があるのか
工事に問題があるのかという
責任の所在がわかりにくくなって、
対応が遅れてしまうことがあります。

毎日使う水廻りの設備は
不具合があればすぐ直してほしいですよね。

システムキッチンやユニットバスの
施主支給が絶対NGだとは言いませんが、
住み始めてからのメンテナンスに不安がある
設備機器は住宅会社に任せた方が
安心できるのは間違いないでしょう。
 
また、取付費や運搬費にも注意が必要です。
ネットの施主支給専門ショップなどでは
システムキッチンやユニットバスが
定価の6~7割引で
売られていることがあります。

これだけを見ると確かに安いですが、
取付費や運搬費を合わせると
住宅会社を通じて購入した方が
安くなるケースもありますので
早めに住宅会社に
相談するのがよいでしょう。

 

 

逆に施主支給に向いているのは
取り付けが簡単なもの
です。

その代表格が手洗い鉢。

給排水管をつなぐだけなので
比較的対応しやすく、
住み始めてからの故障の恐れも
少ない箇所です。

ただし、大きさや形によって
取り付けられないものもあるので
早めの相談が肝心です。

希望する手洗い鉢がある場合、
設計段階で「これを取り付けたい」と
具体的に相談しておくと
それに合わせて手洗いカウンターや
配管を考えることができます。

もし洗面台まわりなどの設計が決まってから
施主支給にしようと思ったときには、
取り付け可能なサイズや形を確認してから
探しましょう。

ちなみに★-1なのは、
住宅会社の提携先で選んだ方が
安くなることがあるからです。

中島工務店の場合も取引のある窯元があり
よい品物をお値打ちで
購入できる場合があります。

まずは提携先の商品を確認し、
ネット等と比較しながら選ぶのが
コストダウンのコツです。

 

 

照明器具も施主支給しやすいものの
ひとつです。

ただし、照明器具は手洗い鉢より
さらに大きさや形、重さの
制限があるケースがあるので
注意が必要です。


というのも、
照明本体や取付器具の大きさや形によって
配線してあった場所では
適切な位置にならないことがあるんです。
 
こちらも設計段階で
具体的に取り付けたいモノを
伝えていただければ、
それに合わせて配線なども
考えることができます。

配線などが決まった後に
施主支給にしようと思ったときには、
設計士と相談しながら
照明の目的をよく考えて
選ぶとよいでしょう。

一般的な照明なら
ネットや量販店で購入した方が
コストダウンになりやすいので、
検討してみる価値はあると思います。

しかしながら、照明は位置や色、
明るさ、デザインなどによって
部屋全体の雰囲気を左右します。

ご自身で選ばれる場合
「難しい」と言われる方も多いので
★-1としました。

一般的な照明でOKという場合には、
照明はコストダウンの狙い目です。


 

比較的取り付けが簡単なカーテンも
施主支給に向いているといえます。

注意したい点は2つ、
①家全体を考えたコーディネイト
②取り付け位置と下地です。

カーテンを施主支給する場合、
お施主様がご自身で
ネットや店舗で探すことになります。

最近はカーテンにも
ブラインドやシェードなど
いろいろな種類があり、
さらに何百という生地が揃っているので
選ぶのもたいへんです。

コーディネーターがいるお店もありますが
カーテン屋さんが
実際にどんな家ができるのかを
十分把握するのは困難です。

家全体のコーディネイトを考えると、
建物とお施主様のライフスタイルを熟知した
担当設計士と一緒に選ぶ方が
よい選択ができるのは間違いありません。

取り付け位置にも注意が必要です。
カーテンを窓枠の中に取り付けるのか、
窓のすぐ上の壁に取り付けるのか、
カーテンボックスをつくるのかなど
カーテンの取り付け方にも
いくつか種類があります。

カーテンレールを取り付ける場所には
必ず下地が必要なので、
設計段階で相談するのがよいでしょう。

中島工務店の場合は
後から好きな位置に取り付けられるよう
窓枠の内側にも窓上の壁にも
あらかじめ下地を入れますが、
それでもカーテンボックスは
事前に設計しておかなくては
つくることができません。

設計が完了してから
カーテンを施主支給にしようと思ったら
取り付けられる場所を
よく確認してから選びましょう。
 
なお、カーテンの場合、
購入だけでなく取り付けまで自分でやると
コストダウンにつながります。

当社の場合、延床面積35坪程度の住宅なら
取り付けまで自分でやると
1~2割のコストダウンになることが
多くなっています。


 

壁掛けエアコンも
施主支給しやすいもののひとつです。

近年ではエアコンのない家は少なく
「あまり使わない」というお宅でも
将来取り付けられるように
下地や電源、配管穴などを
つくっておくのが一般的です。

つまり、施主支給かそうでないかに関わらず
下地・電源・配管穴などの工事は
新築時に住宅会社がやることになるので
本体の取り付けだけなら
施主支給でもそうでなくても
特に問題はありません。
 
エアコンの場合は住宅会社を通すより
ネットや量販店の方が安いことが多いので
コストダウンにつながります。
(ただし、ネットや量販店の商品と
住宅会社経由の商品には
違いがありますのでご注意ください)
 

とはいえ、
住み始めてからのメンテナンスには
注意が必要です。

「施主至急に向いていないもの」で
お話ししたとおり、
住み始めてから故障する恐れがあるものは
責任の所在が問題になってきます。

エアコンにもそれはいえるのですが、
ではなぜ、エアコンは
向いている度★★★なのかというと
システムキッチンやユニットバスに比べて
配管・配線が単純で
不具合の原因を切り分けしやすいからです。

具体的には次の2点だけが
施工した業者の責任です。

①電源に電気がきていない
②ドレン管の排水が正しく施工できていない
(水が落ちてくる)
 
これ以外の不具合は本体の問題なので
お施主様とメーカーで
交渉していただくことになります。

 

 

家具の施主支給というのは
もしかしたらあまり
イメージがないかもしれません。

手持ちの家具を持ち込んだり
新しくするにしても
自分たちで買うのが当たり前だと
思っているお客様も
たくさんいらっしゃいます。

でも実は住宅会社によっては
家具も設計士が一緒にコーディネイトし
メーカーや家具店から
納入することができるので
住宅会社側からすると
お施主様が自分で買ってくる家具は
施主支給というわけです。

中島工務店にも提携家具店があり
住まいのイメージに合う家具を
割安で購入することができるので
ぜひ一度検討して頂きたいと思います。

とはいえ、提携家具店の数は
限られていますから
ご自身で好きなものを購入したいと
思うこともありますよね。

その場合もお早めにご相談いただけると
その家具を置くことを想定して
スペース等を検討できるので
「置いてみたら後ろが通れない」
なんてことがなくなります。


 

施主支給に向いているものを
5つ紹介してきました。

最後に、これらを実際に
施主支給する場合の注意点と
住宅会社に相談したいことを
まとめておきます。

<実際に施主支給するときの注意点>
■運搬時に破損・故障した場合、
 お施主様が購入先と
 交渉しなければならない。
■施工に間に合うように購入し、
 現場に届けなくてはいけない。
■購入後、現場に納品するまでの
 保管場所が必要。

特に、施工のタイミングに合わせて
納品することは非常に重要です。

住宅の建築工事はいろいろな工種の
連携で成り立っているので、
ひとつ納品が遅れると
全体の工程に影響してしまいます。

配管・配線などの工事に間に合うように
購入品を決定し、
実際の施工日に合わせて納品する
のが
施主支給をスムーズに行うポイント
だといえます。


<住宅会社に相談したいこと>
■施主支給の方が
 コストダウンになるかどうか
■施主支給品の設計上の設置条件、
 購入品の決定期限・納品期限、
 そのモノを施主支給にする場合の
 メリット・デメリット

ほとんどの住宅会社で、
こうしたことを尋ねれば
きちんとアドバイスしてくれるはずです。

実際に施主支給を行うときには
住宅会社も実際に取り付けるために
必要な情報を調べなくてはいけませんが
それには費用がかかるということも
知っておいていただきたいと思います。

コストダウンのために施主支給をする場合、
モノの値段だけでなく、
関連して発生する費用も考慮して
決める必要があります。

 
施主支給の具体例として
人気の幹太くんや
サンワカンパニー製品を例に、
施主支給の注意点をまとめましたので
こちらの記事も参考にしてください。
2022年最新版!施主支給の注意点