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家づくり

注文住宅の価格を知る方法


 
住宅建築のプロが納得できる
家づくりのヒントをお話しするブログ。
 
今回のテーマは
「注文住宅の価格を知る方法」です。
 
「注文住宅の会社って
どうして価格を書かないの?」
と聞かれることがあります。

わかります!
お客様としては
一番知りたいところですよね。

素敵な家だなぁと思っても、
建てられるかどうかを判断するための
情報がないんじゃ困りますよね。

具体的に相談して、
プランとか見積もりとかしないと
わからないとか・・・
怖い!めんどくさい!

わかるんです、
私たちにもその気持ち。

なのに、
ホームページにもパンフレットにも
価格って書いてありません。

ご覧いただくとわかる通り、
当社のサイトにも
価格に関する情報はありません。

実はコレ、
書くのがすごくすごく難しい上に、
書いたところでお客様にとって
ほとんど参考にならないから
書いていないんです。

今日はまず、
注文住宅会社が価格を明示しない理由を
住宅会社の立場から解説します。

さらに、具体的な相談を始める前に
注文住宅の価格のめやすを確認する方法を
ご紹介しましょう。



この記事でわかること
□ 注文住宅会社が価格を書かない理由
□ 住宅の値段を聞くときのポイント

 
目次


1.注文住宅会社が価格を書かない理由
2.注文住宅の価格を尋ねてみよう
3.「しつこい営業」や
  「相手にされないかも」という心配には


 

 


注文住宅会社は
価格を明示しないと書きましたが、
はっきりと書いているケースもあります。

ローコスト注文住宅と規格住宅です。

ローコスト注文住宅というのは、
坪単価30~40万円代くらいの数字を
広告にでっかく掲げている会社です。

見たことありますよね?

規格住宅というのは、
注文住宅でありながら
プランや仕様が限定された住宅です。

この「プランと仕様が限定された」
というところがポイント。

これがローコスト住宅にも共通する
価格を明示できる理由なんです。

大きさ・間取り・材料・設備などが
ほぼ決まっていて、
変更できる範囲も限定されていて、
会社によっては打ち合わせ回数まで
あらかじめ決まっているから、
かかる費用もだいたい決まっている。

これなら価格もはっきりするから
書けるんです。

注文住宅会社が価格を明示できない理由は、
ちょうどこの逆のことをしているから。

つまり1軒1軒
違う家を建てているから
です。

本当にプランに制限のない注文住宅の場合、
1軒1軒大きさ・間取り・材料・設備などが
全部違っていて、
すべてをゼロから考えなくてはいけません。

以前の記事で書いたように、
土地の条件の活かし方から始まって、
いろんな角度から考え抜いて
たったひとつの最良の家を建てるのが
私たちの仕事です。

だから、例えば坪60万円の家でも
平屋もあれば2階建てもあり、
太陽光発電を搭載した60万円もあれば、
造作家具がたくさんある60万円もあります。

つまり、仮に建物の写真に
価格や坪単価を表示したところで、
その中身が全部わからないと
どうしてその値段になったのかは
わからない
ため
見る人にとって参考になりません。

「うちは太陽光発電はいらないから
安くなるかな」と思っても、
違うところでお金がかかるなんてことは
いくらでもあるんです。

この話をわかりやすくするために、
過去3年間に当社で建てた
住宅の価格帯のデータを公表しちゃいます。
 
延床面積30~35坪の住宅を建てるのに
いくらくらいかかった人が多いのか
というデータです。
(設計料を含む。諸費用は含まない。)



「2,500万円以上3,000万円未満」が
全体の半分強を占めていますが、
次に多いのは
「4,000万円以上4,500万円未満」です。
 
500万円刻みでグラフにしたので
こんな感じですが、
同じくらいの大きさの建物でも
2,000万円強~4,500万円弱まで
分布していることがわかります。

その差はざっと2,000万円以上。
2,000万円あったら
もう1軒建ちそうですよね・・・。

注文住宅の場合、
どんな家を建てたいかによって
こんなにも価格が違ってしまうから
価格表示がとても難しいのです。


 

 


じゃあ、いいなぁと思った住宅会社で
自分たちが建てられるのかどうかを
知るにはどうすればいいんでしょう。

一番いいのはやっぱり正直に相談すること。

そうすれば、
住宅会社はきちんと資金計画をして
「どうすれば希望の家を建てられるか」を
提案してくれます。

ただし、
家族構成や勤務先・年収など
重要なことをたくさん
伝えなくてはいけませんから
「早くから自分の情報を伝えたくない」
という気持ちもありますよね。

価格を確認したいときって
まだ住宅会社選びの最中だから、
複数の会社と話すのがしんどい
というのもあるでしょう。

なので今回は、
自分の情報をできるだけ伝えずに
ざっくりとした価格のめやすを聞く方法

お話しします。

カンタンにいうと
自分の条件を伝えて
だいたいの金額を教えてもらう

ということです。
 
できれば住宅会社を訪問して
モデルハウスなど実物を見ながら
尋ねるとよいと思いますが、
難しければ電話でもかまいません。

少なくとも以下の条件を伝えて
「御社ではいくらくらいで建てられるか
だいたいの金額を教えてください」と
お願いしてください。

伝えてほしい項目は
 
①いつまでに入居したいか
(建築にかかる期間は
住宅会社によってずいぶん違うので、
連絡した時点で
「当社ではもう間に合わない」
というケースがあります)

②家族構成
(建物の規模を考えるめやすになります)

③特に希望すること
(床暖房は絶対ほしい!など)

といったところです。

このくらい伝えれば、
住宅建築のプロなら
頭の中でだいたいどんな家になるか
ざっとイメージして
「およそ●●万円くらい」と
答えてくれるはずです
(社内ルール等で
答えてくれない会社もあります)。

ただし、これはあくまでめやすです。

自社の標準的な造りをベースに
規模と特別な希望を考慮しただけですから
具体的に相談すると
もっと費用がかかることもあれば
意外とコストダウンできることもあります。

住宅会社を絞り込むための
ひとつの情報にはなりますが、
「いいな」と思う会社なら
やはりきちんと相談することを
おすすめします。

すると「高くて無理かも」と
思っていた会社でも、
意外と予算内で希望を叶える方法を
提案してもらえたりしますから!



 


具体的に相談するのが
一番だとわかっていても
なかなかできない、したくない。

お客様にその理由を尋ねてみると、
個人情報を開示したくないというほかに
おもに2つの理由があるようです。

「しつこく営業されそう」と
「予算が少なくて
相手にしてもらえないかも」
という不安です。

最後に、この不安への対処方法を
お話ししましょう。

しつこく営業されそうと不安なら
「●月までに判断するから営業しないで」
とはっきり伝えましょう。

このときに重要なのは
「●月」が自分たちにとって
適切な時期であることです。

ほとんどのお客様には
「子どもが入学するまでに」など
入居したい時期の希望があるはずです。

それまでに家が建たなければ
いろいろ困ったことが
起こってしまいますので、
資金などの相談をするときには、
同時に各社の建築スケジュールを
必ず確認しておいてください。

そのスケジュールを踏まえて
自分なりの締切を設けて
「●月までに返事をします」と
はっきり伝えれば、
フツーの住宅会社は
しつこく営業することはありません。

住宅会社だって嫌われたくはありませんし
●月までという期限がはっきりしていれば
いつどんなアドバイスをすればよいか
組み立てることができるので、
営業サイドとしても
助かる部分もあるんです。
 
なお設計や建築に必要な期間は
住宅会社によってずいぶん違いますから、
必ず候補の会社すべてに確認しましょう。



次に
「予算が少なすぎて
相手にしてもらえないのでは」
という不安について。

これは、一部で
そのような対応をされたという話を聞くので
実際にあることなんでしょう。

そういう会社に当たったら
候補からはずしてください。

住宅会社がそういう対応をしたのであれば、
現実的にその会社で建てるのは難しいと
考えてよいでしょう。

予算を増やすことができない限り、
そこにこだわっていても
希望の家は建ちません。

ただ、地域の住宅会社なら
そういう対応をすることは
ほとんどないはずです。

あり得ないような極端な金額でなければ
なんとかしようと
相談に乗ってくれる
でしょう。

参考までに、
予算が非常に限定されている場合、
当社では
安全・安心・健康にかかわる部分には
しっかりお金をかけて、
住宅設備など家を建てた後でも
入れ替えることができる部分で
コストダウンを図ります。

ところで、予算が少ない場合には
規格住宅という選択肢を
提案されることもありますね。

一般的に、規格住宅は
その住宅会社が
できるだけ品質を落とさずに
価格を抑えた商品となっているので、
規格住宅で希望が叶うのであれば
十分検討してよい選択肢だといえます。

とはいえ、
プランも仕様も限定されるのは事実です。

予算が限られていても注文住宅なら
基本的に設計は自由なので
「こんな暮らしがしたい」という希望に
近づいていくことができるでしょう。
 
どちらが自分に合っているのか、
よく考えて選んでください。