サロンパスの匂いのする木

サロンパスの匂いのする木



皆さんを山に案内して、
途中で歩道沿いに自生する
ミズメの根元の表皮を少しだけ剥いで、
その匂いを嗅ぎます。
 
代わるがわる皆が幹に近づいて
「サロンパスの匂い」と驚きます。

サロンパスは、
サリチル酸メチルが配合された鎮痛湿布薬。
 
100年が経過した私の古い家の囲炉裏(いろり)の周囲に
「伏せ木」という枠があります。

これはとても硬い木で、
お爺さんが生きていたころ煙管(きせる)という
筆の形をした長いパイプでたばこを吸い終わると
「コンコン」と軽く当てて灰を落とします。
 
 
この伏せ木は実は「ミズメ」です。

落葉高木。本州、四国、九州の山地に自生します。

材は緻密で硬く、
粘り強いのでフローリングや敷居、家具などに使われ、
時を経るごとに濃いエンジ色に輝きます。
 
若いころ天然林が多かった中部地方の国有林から
直径が1メートルに及ぶ
太いミズメの丸太が伐り出されて行きました。
きっと素敵な家具になって生き続けているのでしょう。
 

 
(中島工務店 総合研究所長 中川 護 )
サロンパスの匂いのする木