関西
旅に出て死に方が変わった
<チベットの旅3>
ついに、というかやっとタイトルについて書く時がきました。(笑)
中国チベット自治区への旅の話し(3)。
首都「ラサ市」は標高4,200mという富士山の頂上よりずっと高い所に位置する町なので
ツアーのメインイベント「ポタラ宮」参観まで3日ほどかけてお寺に行ったり
街歩きをしたりして体を順応させてきた。
というのもダライラマ師の居城だったポタラ宮はさらに117mの高さがあり
(階高3.5mとしたら33階建て分!)
エレベーターやエスカレーターなどの施設はないので
いくら健脚でも酸素の少ない状態に慣れてないと
息がきれて登ることなどできないのだ。
ちなみにポタラ宮は全長400m、建築面積1万3000㎡、部屋数2,000!という
単体では世界でも最大級の建築物です。
見学するのにもパスポートナンバーと名前が記された入場券が必要で
カバンの中身のチェックはもとより写真撮影は絶対禁止だし
入場から退場までの時間が決められていたりしたが、
お宮の中はとんでもないお宝が満載で、
無数にある黄金の仏像(それも巨大)だけでも
はかりしれないほどの価値があるとおもう。
今は中国でも特等級の観光資源となっていて、
チベットは中国の一部を誇示するためお札の絵柄にも採用したり
夜はライトアップされていて美しい。
そうして7泊8日のチベットの旅のも終わりに近づき、
最後に地球でも最も標高の高いところにある
ヤムドク湖の観光に行くことになり、バスで向かった。
そこはなんと標高4,998m!
あと2mくらいサバ読んでも誰にもわからないと思うけど(笑)。
それはともかく標高が5,000mにもなると酸素濃度は地上の約半分。
ちょっと階段上るだけでも息苦しいので常に深呼吸していた。
澄んだ空気と深い青色をした美しい湖を見て、今回の旅も良かったなぁ
と思い出にふけりながら下山していると、
途中の山肌になにやら白いペンキで梯子のようなものが
あちらこちらにたくさん描かれている。
何だろうと思ってガイドさんにあれはなに?と聞くと、
あれは身内が亡くなった時に背中におぶって山を登り、
頂上にある鳥葬場に遺体を置いてきた跡にしるしをつけたものだという。
えー、と思いました。
今どき鳥葬?!
チベット仏教では魂の抜け殻となった体は自ら最後のお布施を行い、
功徳を積む事で昇華しまた生まれ変わる。
この地では基本的に鳥葬で、自分もいずれそうされることを望んでいると。
それが一番気高く自然に還る方法で、
病気で亡くなった体を鳥に食べさせるのは失礼?なので土葬、
一番ひどいのが火に焼く火葬との事。
小さな子供が亡くなった時は川に入れて水葬だそうです。
なのでチベット人は魚を食べないとの事。
人はだれしも健康で長生きを望むので、
チベットに住む人にとって鳥葬であることが死後の理想の姿なのだ。
最初「鳥葬」の事を見聞きした時はおぞましさしか感じなかったけど、
翻って僕ら日本人が健康で寿命をまっとうできるのは国民のわずか1割程度。
ほとんどはガンや心疾患等の病死です。
糖や脂肪過多などの生活習慣病などで死んでは
自然に還すのもはばかれて火葬が当然と、
チベットの方に笑われると思った。
ちなみにチベットにはお墓というものがなく、
愛した人は生まれ変わってどこかでまた会えると信じているので、
初めて会った人にもやさしくできるのかもしれない。
大阪支店 筒井克佳