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関西

旅に出て死に方が変わった-チベットの旅1



今回は旅の話し。
 
僕は若い時にバックパックを背負い
主に列車でヨーロッパ各国、船でアフリカに渡り、
そしてアメリカ大陸ロスアンゼルスからニューヨークまでの
世界一周旅行をしたことがある。
 
人はよく「旅に出ると生き方が変わるよ」というけど、
確かに若い時の旅はそうだったかも知れない。

実際旅先で出会った建築たちにつよい興味を持ち
猛勉強して一級建築士免許を取り
設計事務所を立ち上げたりもした。
 
その後もインド、ネパール、タイ、
ベトナム、ラオスにカンボジアと旅して、
行ってないアジアの国は
ミャンマーとブータンくらいか。
 
アジアの国々は面白くて
話が尽きないくらいだが、
今回お話しするのは
コロナでパンデミックが起こる直前の
2019年11月に妻と行った
中国のチベット自治区への旅のこと。
 
中国のチベット自治区というところは
標高3,650mという
富士山より高い土地でありながら、
人口20万人近くの人が住む
チベット仏教の聖地で
とても美しい街ラサ市がある。
 


しかしここは政治的な理由で
中国の中でも特に個人旅行をすることが
許されていない地域で、
すべての外国人は旅行会社を通じてしか行けず、
行動をきびしく管理されています。
 
僕は今まで旅行会社を利用したことが
一度もなかったけど
この時は仕方なくツアーに参加しました。

渡された旅の栞(しおり)には
チベットに行く日本人の約7割は高山病になるので
医師に予防薬を処方してもらってくださいとの事。
 
さっそく病院で
3千メートルを超す高地に行くと
医師に伝えると
睡眠時無呼吸症候群の治療に使うという
肺に酸素を取り込む薬を処方されましたが、
なるほどこれが高山病予防薬って事か。
 


実際僕らのツアー客7名は予防薬のおかげで
ほぼ問題なく過ごせましたが、
持ってなかった別のツアー客の
半分の人は高山病にかかり
病院で点滴を受けて
街を歩けなかったそうです。
 
また帰国後、友人で数年前に
チベットに行った事があるという人がいて
やはり高山病にかかり
ツアー途中で下山したらしく、
そんな予防薬の事は聞いてなかったと
悔しがっていました。(^^;)
 
高山病にかかることなど
めったにないかも知れませんが、
頭痛がひどくめまい吐き気もあって
相当きついらしいです。
 
このツアー中、参加者は
毎朝血中酸素濃度のチェックが義務付けられ、
85%以下ならツアーに参加できない仕組みでしたが
僕らは薬のおかげで毎回90%以上ありました。

(帰国後、コロナで知る事になった
血中酸素濃度ですが、
僕はこの時はじめて測りました。
日本では正常値で96~99%のようなので
今考えると93%は低いですね。)
 

そのラサに行くには
北京から青海省西寧まで行き、
そこから総延長約2,000Km、
鉄道の平均標高が4千メートルを越えるという
青蔵鉄道に乗って約13時間の旅です。

パンフレットより


外国人観光客に割り当てられたのは
2段ベッドが並ぶ4人部屋の個室で、
面白いのは各枕元一人ずつに
酸素吸入装置があって
ガイドから気分が悪くなったら
これで酸素を吸うようにと
使い方の説明があった。
 
というのも途中のタングラ駅は
地球で一番標高が高いところにある鉄道駅で、
その高さはなんと海抜5,068Mというもの。(@@)

実際何人かの人が
酸素マスクのお世話になってました。



後列の2等列車は地元の人が出稼ぎに使う車両で
もちろんそんなものは付いてないし、
高度に慣れてるので必要もありません。
 
中国の主要駅はどこも
日本では見たことがないくらい巨大ですが(人も多い)、
終着のラサ駅も威厳のある大きい駅舎でした。
 
(ラサ駅舎内は写真撮影禁止でした)

 
ただ中国国内の普通の駅と違うのは、
飛行機に乗ってここから海外に行くのか
というくらい監視員がいて
外国人に対してはパスポートのチェックが厳しく
駅構内だけでも3か所の検問がありました。
 
要するに外国人の入りと出の数を管理して、
居残りが一人もいないようにするためです。
 
ラサには4泊5日いましたが、
街中でも主要建物に入るところはもちろん、
普通の公園の入り口でも
パスポートのチェックがありましたし、
何気に写真撮ってたら公安(警察)が寄ってきて
スマホの写真をチェックされました。
怖っ!
 
(後でよそ見しながら撮ったけど(笑))



ガイドブックにもここでは
写真撮影に気をつけるように
(特にいたるところにいる
公安や車両などを撮らないように)、
また「ダライ・ラマ」の写真を持ち歩くことや
その話題も絶対にしないようにと書いてあります。
 
共産党の一党独裁で、
習近平以外の指導者の存在を許さないこの国では
宗教とはいえ力を持つことはダメだし、
チベット仏教の存在そのものを
消そうとしていると感じました。
 
しかし街中ではたくさんの敬虔なチベット人たちが、
聖地ポタラ宮を目指して「五体投地」という
地面に全身をうつ伏してまた立ち上がる
という独特の祈りをしてました。
 


中国公安当局はそれを
監視はするものの見て見ぬふりでしたが
年寄りが多く、いずれ死ぬことで
チベット仏教は終わりを迎えるのを
待っている風でした。
 
書き出したらいろいろ思い出してきて
表題までなかなかたどり着かないですが、
調子が出てきたのであと2回くらい
続きを書きます。(笑)
 
次回は富士山より高い所にあるのに
花々が咲き乱れる美しい町ラサ市と
お寺に響く若い修行増たちの丁々発止の禅問答、
もとはダライ・ラマがいた
美しくも壮大なポタラ宮を書いてみます。
 



大阪支店 筒井克佳