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暮らし

室内での熱中症対策



暑い日が続きます。
ニュースでも畑仕事等の外仕事はもちろん
室内での熱中症の事例が多く見られます。
 
実は自宅での発症が一番多い熱中症、
皆さん対策されてますか?
 
今回は室内熱中症にならないために
大切なポイントとともに
暮らし方の工夫を紹介します。


 

まずは熱中症が引き起こされる
メカニズムを簡単に説明します。
 
暑い日や運動をした後などには
体温が上昇します。
すると体が体温を調整しようと
汗を出したり皮膚の表面に血管を広げて
熱を外に出そうとします。
 
しかし、汗をかくと体の中の水分が減るので
体温が徐々に上がり続けてしまいます。
 
そして、熱産性>熱放散となると
脳などの機能のはたらきが悪くなり
身体の調子が悪くなって
熱中症が起こるというわけです。
 
暑い日に外にずっといたり運動をすると
熱中症になりやすいというのは
イメージできると思いますが
室内でも熱中症は起こります。
 
その原因は屋外と同じで、
などがあります。

「熱中症ゼロへ」サイトより)




 

続いて、室内熱中症にならないために
大切な対策を紹介します。
 
 
温度と湿度を気にする
 
室温や湿度は部屋ごとにことなります。
いま自分のいる環境について
気にかけるようにしましょう。

室温が低くても湿度が高いと
注意が必要です。


適切な室温を保つ

エアコンや扇風機を活用して
室温を適度にさげましょう。
窓はカーテンやすだれを活用して
遮光しましょう。


こまめな水分補給と適度な塩分補給

室内にいる時は屋外と比べて
のどの渇きを感じにくいことがあります。

のどがかわいていなくても
こまめに水分をとりましょう。

汗を大量にかいた時は
適度な塩分補給も重要です。


身体の調子を整える
 
栄養不足や睡眠不足も
熱中症を引き起こしやすくします。
 
バランスのよい食事や
睡眠をしっかりとることで
身体の調子をととのえてあげましょう。

 



続いて、
住まい・暮らし方における
対策を紹介していきます。


1.風通しを工夫する

窓は1か所だけではなく
向き合う位置の窓も開けて
風を通り抜けさせましょう。
  

2.日光を遮る
ブラインドやすだれ、
カーテンなどを活用して
直射日光を遮りましょう。

ゴーヤや朝顔など夏の植物を育てて
緑のカーテンを作るのも
見た目にも涼やかでお薦めです。
 
LITTLE KASHIMOのLDK
大切なのは
熱(日射)を室内に入れないようにする
ということです。

高い位置の日射は
軒を出すことである程度遮られます。

重要なのは
朝日(東面)と夕日(西面)の対策。

朝日と夕日は入射角が低いため、
外付けブラインドやオーニングを取り付け
窓全体を覆う工夫をしましょう。

もっと手軽にしたいなら、
ホームセンターなどで売られている
断熱シートや断熱フィルムを
窓に張り付ける方法もあります。
 
3.通気性の良い服を着る
襟元がゆったりしたデザインの服は
熱がこもるのを防いでくれます。

また、吸汗性、速乾性に優れた素材は
汗が蒸発しやすく、体温調節に役立つので
素材も気にするようにしましょう。


4.家族やペットの様子をよくみる
先ほども述べた通り、
同じ家に住んでいても部屋ごとに
室温や湿度は違うことがあります。

家族がどこにいてどんな状態なのか
注意しておきましょう。

また、犬や猫は体温調節が苦手なので
ペットの様子にも気を配りましょう。


部屋の温度差をなくすためには、
サーキュレーターを使って
空気を循環させるのが効果的。

サーキュレーターは
強い風を一直線に発生させます。

エアコンの下に置いておけば、
冷たい空気を部屋の上部へ送り、
部屋の温度を均一化します。

扇風機だと風が多方向に散り、
短距離にしか届かないため、
サーキュレーターがおすすめです。

 



室内の中でも
熱気や湿気がこもりやすいところは
特に注意が必要
です。

たとえば、お風呂場、洗面所は
熱がこもりやすく湿気もあります。

このような場所で長時間過ごすときは
注意しましょう。

また、入浴後の脱水にも注意しましょう。

入浴により約800mlの水分が
失われるといわれています。
入浴前後の水分補給が大切です。

※お茶やビールは利尿作用があり
身体の水分を外に出してしまうため
水分補給には適しませんのでご注意ください。
※水だけ補給しても熱中症の予防にはなりません。
スポーツ飲料などで塩分も補給しましょう。



そして、2階も熱がこもっています。
2階に寝室がある場合は
先にエアコンで部屋を冷やしておくなど
注意が必要です。

 



これまでさまざまな熱中症対策、
暑さを和らげる工夫を紹介してきました。

が、根本的に暑さを解決するには
やはり住宅の高断熱化です。

熱を室内に送り込んでいるのは
主に西側と東側の窓です。

断熱性能に優れた窓に交換すれば、
熱が室内に入り込む前にブロックでき、
室内の温度上昇が防げます。

リフォームの際は
フレームごと替える方法か、
内窓を増設し二重窓にする方法の
どちらかが良いでしょう。

<フレームの交換>
半日ほど時間がかかりますが、
アルミ製から樹脂製フレームにすることで
熱伝導率が1/1000になり、
熱の出入りがグッと抑えられます


<内窓の増設>
開け閉めの手間は増えますが、
省コスト短時間でリフォームできます

内窓の増設


窓のリフォームは断熱性能以外にも、
結露を防ぐ効果がありますので
お悩みの方は検討してみてください。

また、今なら窓リノベ事業の
補助金も申請可能です。
詳細はこちらの記事をご覧ください。
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また、部屋の温度差を防ぐためには
「屋根」か「天井」を断熱化
しましょう。

工法としては、
屋根のすぐ下に断熱材を入れる
「屋根断熱」と、
天井板のすぐ裏に断熱材を入れる
「天井断熱」があります。

<屋根断熱>
コストはやや割高になりますが
天井板を張る必要がなく、
屋根のすぐ下から
部屋空間として利用できるため、
伸びやかな空間がつくれます


<天井断熱>
屋根を通過した熱が
天井裏の空間にたまるため、
小屋裏の空間は利用できなくなりますが
コストを抑えられるメリットがあります。

天井断熱


コスト面や天井裏の使用方法も考えて
あなたの住居にぴったりな方を
選んでください。


夏の不快感の原因は、
住居の断熱性の低さです。

入ってくる熱をエアコンの冷風で
なんとかしようとするより、
そもそも熱を家の中に
入れないようにする方が効率的です。

もしエアコンを高性能なものに
買い替える予算があるなら、
その予算で断熱化できるところはないか、
検討してみるのも良いものです。

こうしている間にも
次の夏がやってきます。
家族の健康が損なわれる前に
行動を起こしていきましょう!

また、まだまだ暑い夏は続きます。
災害級といわれるほど暑い日もあります。

外出時はもちろん、
室内にいても水分補給をこまめにするなど
熱中症に気をつけましょう。

少しでも気分が悪いと感じたら
熱中症を疑い、
経口補水液を飲んだり、病院へ行くなど
無理をしないようにしてください。