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家づくり

注文住宅の別途工事費とは


 
住宅建築のプロが納得できる
家づくりのヒントをお話しこのブログ。

今回のテーマは「別途工事費」です。
 
中島工務店ではプランなど
具体的な計画に進む前に、
必ず概算資金計画を行います。

これは見積もりとは異なり、
お客様の予算のうち
建物本体に使えるお金は
いくらかを算出
するもの。

諸費用や別途工事と
呼ばれるもののほとんどは
必ず支払わなければならず
金額もほぼわかっているものなので、
その金額を予算からあらかじめ差し引いて
本当に建築に使える費用を割り出す

というわけです。

仮に総予算3,500万円の場合の
概算資金計画をグラフにしてみると
こんな感じ
 
※解体・造成なし、
住宅ローン2,000万円(35年返済)を想定。

総予算3,000万円の場合、
建築本体工事の予算は
およそ2,500万円だとわかります。

え?1,000万円近くも
別途工事や諸費用が必要なの!?と
思われるかもしれません。

実際に驚かれるお客様も
結構いらっしゃいます
(先に種明かしをしておくと、
この例では本体工事を除く費用のうち
約300万円が消費税です)。

というわけで、
具体的に考え始めてから
びっくりしないように
注文住宅の別途工事費、諸費用について
解説します。

が、あまりにも長くなってしまったので
まずは『別途工事費編』!
次回『諸費用編』をお送りします。

なお、今回は土地の購入費および
それに伴う諸費用については解説しません。

また各種費用には個別のお客様の状況、
地域や会社による違いがありますので、
あらかじめご了承ください。

具体的にご自身の場合が知りたいなら、
早めに建築予定の住宅会社に
相談しましょう。
 


この記事でわかること
□ 注文住宅の別途工事の内訳
□ 住宅ローンに含めることが
 できるもの・できないもの
□ 別途工事や諸費用が増減するポイント

 
目次


1.別途工事費①解体工事費
2.別途工事費②造成工事費
3.別途工事費③地盤改良工事費

4.別途工事費④上下水道・ガス引込工事

5.別途工事費⑤外構工事費
6.別途工事費⑥その他の工事
7.設計料
8.別途工事費のチェックポイント&注意点


 

 


別途工事費のひとつめは解体工事費。

建築予定地に既存建物がある場合に
必要です。


<住宅ローンに含められるか>
契約による。

解体工事費は、
新築工事とひとつの工事として契約する場合
住宅ローンに含むことができます。

いずれ新築する予定で先に解体したり、
新築工事を依頼する建築業者と
違う業者に依頼する場合など、
新築工事の契約と別契約になると
住宅ローンには含められません。


<費用が増減するポイント>
 解体する建物の構造や規模等による。

解体工事費は建物の構造や規模、
各種条件によって大幅に増減します。
規模はもちろん大きいほど高額になります。

構造としては、通常、
木造<鉄骨造<鉄筋コンクリート造の順に
高くなります。

また、内部に家財等が残っている場合は
その処分費も必要です。

ほかには解体する建物までの
道路が狭いなどの理由で
重機が入れない場合、
既存の庭を残すなど配慮が必要な場合、
アスベストなど
処分が難しい建材が含まれている場合など
状況によってさらに費用が発生します。

解体工事費は地域や業者による差が
比較的大きいので、
節約したい場合は新築工事の契約とは
切り離してご自身で
解体業者を見つけてもよいでしょう。

ご自身で手配したときには
騒音や振動など近隣への配慮や、
解体後の廃棄物の処理状況なども
しっかり確認するようにしてください
(その後の新築工事にも影響しますので)。



 


造成とは、地盤面を
住宅建築に適した状態に造り直すこと。

高低差のある敷地で擁壁をつくったり、
田畑などに土を入れて
平らに均したりします。

これまで建物が建っていた土地や
整地された分譲地では
必要ないことがほとんどですが、
土地の状態や規模によって
数十万円~数百万円、
大きな擁壁をつくる場合には
1,000万円以上かかる
こともあります。


<住宅ローンに含められるか>
契約による。

解体工事費同様、
新築工事とひとつの工事として契約する場合
住宅ローンに含むことができます。

新築工事に先立って
別の工事として契約した場合は
住宅ローンには含められません。


<費用が増減するポイント>
土地の形状と土質、面積しだい。

高低差のある敷地では
擁壁や土留めをつくったり、
切土・盛土などで土地を
平らにしなければならないため
費用が嵩みがち。

通常、高低差が大きければ大きいほど
費用が高くなります。

もともと田畑だった土地では、
その土質によって
土の入れ替えが必要かどうか決まります。

もちろん面積にもより、
広ければ広いほど
造成工事費はたくさん必要になります。

いずれにせよ、
造成が必要と判断されたら
そのままでは家が建てられないので、
必要とされる工事を
きちんとしましょう。

擁壁について詳しく知りたい場合は
こちらの記事をご覧ください。
擁壁の費用の抑え方



 


地盤改良工事費が必要かどうか、
どの程度の工事が必要かは、
プランが決まって地盤調査をするまで
わかりません。
 
まったく必要ないケースもあれば
100万円以上かかるケースもあります。

とはいえ、
まったく必要ない方が少ないので
かかるものと思っておいた方が
よいでしょう。

中島工務店では、
建物の規模と地盤調査会社が提供する
近隣の実績データから
およその金額を
概算資金計画時に見込んでおきます。
 
それより高い場合も
抑えられる場合もありますが、
抑えられたらラッキーというくらいに
考えていただくようお願いしています。


<住宅ローンに含められるか>
含められる。

通常、地盤改良工事費は
新築工事の一部として契約に含まれるので
住宅ローンに含めることができます。


<費用が増減するポイント>
プラン決定後は工事費は変えられない。
 
地盤改良は重要な工事なので、
必要と判断されたら
工事費そのものの減額はできません。

ただ、建物の規模が小さければ
工事の範囲が小さくなる分、
費用を抑えることはできます。

建物の規模を小さくすると
建築本体工事費を含む
費用全般を抑えられます。

とはいえ、
暮らしやすさや好みなど
プランには大切にしたいことが
たくさんありますので、
費用とのバランスを
設計士とよく相談した上で
必要な費用はしっかりと
かけていただきたいと思います。


 

 


建築予定地に
上下水道やガスが引き込まれていない場合、
引込工事が必要です。
 
過去に住宅が建っていた土地なら
すでに引き込まれていることが
ほとんどですが、
水道は現在の戸建では
口径20mmが一般的なのに対し、
古い家では
13mmを採用していることが多いので、
その場合は口径変更が必要です
(13mmでも生活できますが、
やや水圧不足で不自由に感じやすいので
口径変更をオススメしています)。

口径変更は新たに水道を引くのと
同じ費用がかかります。

当社の場合、
上下水道+ガス引込工事で
70~80万円程度といったところ

(建築予定地前まで
本管が通っている場合)。
 
<住宅ローンに含められるか>
含められる。

通常、上下水道・ガス引込工事費は
新築工事の一部として契約に含まれるので
住宅ローンに含めることができます。
 

<費用が増減するポイント>
オール電化ならガス引込工事が不要。

オール電化を選んだら
ガス引込工事は必要なくなるので、
20~30万円程度費用が抑えられます。


 

 


最初に載せた事例のグラフでは
外構工事費と別途工事費は
別に掲載しました。

なぜなら、ここまでに取り上げた
解体・造成・地盤改良・
上下水道ガス引込工事と違い、
外構工事費はお客様の意向で
やるかやらないか、
どのくらいやるかを決められるから。

よって外構にかかる費用はお客様しだい

当社では、
一般的なアルミカーポート1台分に
シンボルツリー程度の植栽、門柱、
ちょっとしたフェンスで
100~150万円
といったところです。

外構はつくらない
という選択肢もありますが、
住み心地や安全、建物の見た目などに
大きく影響するので
建物と同時につくるのがおすすめです。

中島工務店では概算資金計画時に、
フェンスなど安全上必要なものは必ず計上し
カーポートや植栽などは希望を聞きながら
およその費用を見込むようにしています。


<住宅ローンに含められるか>
契約による。

新築工事とひとつの工事として契約する場合
住宅ローンに含むことができます。

新築工事が終わって
入居後に外構工事をする場合がありますが、
そのように別の工事として契約すると
住宅ローンには含められません。


<費用が増減するポイント>
お客様しだい。

繰り返しになりますが、
外構はなくても住めますので
どこまでやるかはお客様しだい。

ただし敷地の周りに
崖や水路がある場合に
フェンスを設置するなど、
安全上必要なものは必ず設置してください。



 


その他の工事には
エアコン設置工事、カーテン工事、
床暖房設置工事、太陽光発電設置工事
などがあります。

おおざっぱにいうと、
建物本体とは別に単体で成立するモノを
取り付ける工事だと思ってください。

ただし、建築本体工事に何を含んでいて、
何をその他の工事として扱うかは
会社によって異なります。

費用もお客様が何をやりたいかによって
まったく変わってきます。


<住宅ローンに含められるか>
契約による。

新築工事の一部に含んで契約する場合は
住宅ローンに含むことができます。

床暖房工事などは
新築工事と同時にやるしかないため
当然ひとつの契約になりますが、
エアコン工事などは引渡し後に
改めてすることも可能です。

その場合は新築工事とは別契約になるので
住宅ローンには含められません。


<費用が増減するポイント>
設置するものを厳選する、
家電量販店に依頼するなど。

設計時には「せっかくだから」と
奮発するお客様も多いですが、
何が必要かよく考えて、
設置する場合も
オーバースペックにならないように
適切な性能の製品を選びましょう。

エアコンは引渡し後に
家電量販店に依頼する方法もあります。

ただし、最近の高気密高断熱住宅は
エアコンの施工が難しく
家電量販店では設置を断られるケースが
ありますので、
建築時に一緒に施工した方が安心です。


 

 


別途工事の最後は設計料です。
 
設計料は設計事務所に依頼する場合は
必ず必要です。

工務店の場合は、
会社によって建築本体工事費に
含まれていることがあります。

設計に関わる費用として
工事監理費や建築確認申請、
長期優良住宅など
各種申請手数料などがありますが、
これらは会社によって
設計料に含むこともあれば
諸費用として計上する場合もあります。

このように設計料は
会社の考え方に左右されるため、
会社によって大幅に違います。

中島工務店では
設計時には設計契約、
設計完了後に工事請負契約を締結し、
設計料は工事費とは別に計上します。
 
設計料には工事監理費、
確認申請・長期優良住宅申請手数料を
含みます。

具体的な金額は想定される
建物の規模や条件によって、
概算資金計画時に提示します。


<住宅ローンに含められるか>
契約による。

新築工事の一部に含んで契約する場合は
住宅ローンに含むことができます。

当社のように
設計契約と工事請負契約が別の場合は
住宅ローンに含むことはできません。

 
<費用が増減するポイント>
会社によって違う。

設計料の考え方が
会社によって違うため、
一概にはいえません。

一般的に建物の規模が大きかったり
複雑な条件を含むほど
費用は高くなりますが、
それもその会社の考え方しだいです。
 
住宅会社を決める前に
「設計料はいくらか」
「何の費用が含まれているのか」
「高くなる場合があるのか」などを
確認しておきましょう。


 

 


以上が別途工事費として
通常考えられるものです。

家づくりの計画を始めた段階で
チェックしたいことはこんな感じ

□およその費用を把握しよう

費用がわかるものは
当社の場合の一般的な金額を記載しました。

金額に幅があると記載したものも、
個別のお客様の条件
(敷地条件、おもな要望)を
確認すればだいたいのめやすは
立てられます。

住宅会社をある程度絞ったら、
別途工事にどのくらいの費用がかかるか
相談してみるとよいでしょう。


□住宅ローンに含められない分は
現金を用意しよう

住宅ローンに含められるかどうかは、
その費用が新築工事の契約に
含まれているかどうかがポイントです。

新築工事の契約に含まれていない費用は
ローンが使えませんので、
現金で用意しなくてはいけません。

お客様によりますが、
自己資金が少ない場合は
できるだけ新築工事契約に
含んでしまった方がよいこともあります
(その分返済額が増えるので要注意!)。

実は、別記事でご紹介する
「諸費用」の大半が
現金で支払わなくてはいけないものです。

諸費用を含めて、
現金で必要な金額を
早めに把握すると安心です。