プロが教える家づくりのヒント HINT

設計

新築住宅の土間の仕上げ方


 
住宅建築のプロが納得できる
家づくりのヒントをお話しするブログ。
 
今回のテーマは
「土間の仕上げ方」です。
 
アプローチや玄関、勝手口、駐車場など
どんな家にも必ずあるのが土間です。

実は外から見たときに
目につきやすい場所なんですよね。

土間をどのように仕上げるかによって
見た目の印象がずいぶん変わる上、
コストにも意外と差がつきます。

今日は土間のおもな仕上げ方
5種類を取り上げて、
ひとつずつ特徴を確認していきましょう。

今回取り上げる5種類はこちらです。

●コンクリート
●モルタル
●豆砂利洗い出し
●タイル
●天然石

このリスト、基本的には下にいくほど
お値段高めです
(細かい仕上げ方等により多少変わります)

 


まずは皆さんご存じのコンクリート。
 
セメントに砂と砂利を混ぜたものです
(この砂や砂利を骨材といい、
土間の話ではときどき登場するので
覚えておいてください)。

いわゆるコンクリート色に仕上がるので
無機質な印象にしたい場合に
好んで使われるほか、
比較的安価なので勝手口など
目立たない部分に使われることも多い
材料です。

コストダウンのためにコンクリート!
というときに注意してほしいことが
ひとつあります。
 
骨材として砂利が入っているため、
塗ったときの厚みが5cmくらいは必要です。

厚みが5cmもあると
垂直面を塗るときには型枠が必要になり、
型枠なしで塗れるモルタルより
費用がかかってしまうことがあります。

ただし、
コンクリートの方が骨材が大きい分、
モルタルより頑丈で割れにくい
という特徴もあります。

平らな面だけ塗るときには
コンクリートが安価ですが、
段差があって
垂直面を塗らなくてはいけない場合は
モルタルと特徴やコストを
よく比較検討してください。

 

 


コンクリートとよく似ているのが
モルタルです。

違いは骨材で、
モルタルはセメント+砂でできています。

使われ方は
コンクリートとほとんど同じですが、
砂利が入っていないため
厚み2~3cm程度で
塗ることができます。

つまり型枠なしで
垂直面を塗ることができるので、
型枠が必要なコンクリートより
コストダウンになるケースがある
というわけです。

 

コンクリートと違って
モルタルは色をつけることもできますが、
色ムラが出やすいので
均一に仕上げたい場合は
あまりおすすめできません。

大きめの骨材が入っていない分
コンクリートに比べるとやや割れやすく、
下地のコンクリートから浮きやすいのも
あらかじめ知っておきたいところです。

※割れたり浮いたりするのは長期的な話で、
コンクリートもモルタルも通常の使用の範囲なら
短期間で割れることはありませんのでご安心ください。

なお、コンクリートもモルタルも
すべり止めに
ほうき目を入れることがありますが、
ほうき目には埃がたまりやすく
こまめな掃除が必要になります。

 

 


中島工務店で玄関やアプローチに
よく採用するのが豆砂利洗い出しです。

豆砂利とは豆のような
丸みがある小さな砂利で、
現場でセメントに混ぜて塗っていきます。

いったん塗った後に
表面のセメントを
水分を含んだスポンジで洗っていき、
豆砂利を浮き出させる・・・
これが洗い出しです。

詳しい施工手順はこちらの
中島工務店現場リポートをご覧ください。

豆砂利洗い出しは
厚み1~1.5cmで塗れるので、
こちらも垂直面にも塗ることができます。
 

豆砂利は自然素材なので
アース系の数色から色を選びます。

落ち着いた印象、
やさしい雰囲気に仕上がるのは
やはり自然素材ならではですね。

デザイン的にほかの色がいい場合は、
次にご紹介するタイルの方が
選択肢が広がります。

【おまけ】コンクリート洗い出し
コンクリートを使って
豆砂利洗い出しと同様の手順で洗い出す、
コンクリート洗い出しという
仕上げ方もあります。
 
浮き出させるのはコンクリートの骨材、
つまり砂利です。

豆砂利ほど印象的にはなりませんが、
コンクリートよりは
仕上がりに表情が生まれます。

コンクリート工場によって
使っている骨材が異なるので、
仕上がりも変わってきます。

費用的にはコンクリートよりは高く、
豆砂利洗い出しよりは安い
といったところです。


 


タイルも玄関などで
一般的な仕上げ方ですね。

大きさや形、色、デザインが豊富で
和洋どちらにも合わせやすく、
空間イメージに合わせて選ぶ
楽しみもあります。
 


タイルの弱点は割れやすいところ。

モノを落としただけで
割れることがありますし、
下地からも浮きやすいので、
ほかの仕上げ方に比べて短期間で
メンテナンスが必要になります。

またタイルには
必ず目地がありますが、
時間とともに
目地が減っていくのは避けられず、
そこにゴミや埃がたまりやすい
というのも気になるところです。

濡れるとすべりやすくなりますが、
すべり止めを塗ることができます。

住宅会社が実際に建てた家を見るときには、
タイルの割付けにも注目してみてください。

ある面積に決まった大きさの
タイルを貼っていく場合、
ちょうど割り切れる枚数で終わらないことは
よくあります。
 
例えば幅1mの場所に
15cmのタイルを貼ると
6枚+10cmになりますよね。

この10cmをどう貼るのかに
その住宅会社のセンスが現れます。

タイルはデザインが豊富な分、
選ぶものによっては
流行に左右されることもあります。

長く暮らす住まいに使う
タイルを選ぶときには
10年後、20年後を考えるのも大切です。


 


天然石は最も高級感漂う仕上げ方です。
 
見た目に美しいのはもちろん、
割れることもまずないので
耐久性にも優れています。

ただし天然石を敷く場合にも
目地がありますから、
目地が減って埃やゴミがたまるのは
避けられません。

濡れるとすべりやすくなりますが、
こちらもすべり止めを塗ることができます。
 


天然石も、どんな石を
どのように配するかに
住宅会社のセンスが現れます。

よく見てみると
住宅会社選びの参考にもなるでしょう。

 

 


土間の仕上げ方を
5種類紹介してきましたが、
もちろんこれらを
組み合わせて使うこともできます。

コンクリート仕上げのポイントに
タイルをはめ込んでみたり、
豆砂利洗い出し仕上げの縁を
タイルにしてみたり・・・。
 
例えばこんな感じ。


土間の仕上げ方しだいで
建物の印象はずいぶん変わります。

住宅会社の施工事例を見るときには
土間まで含めて見てみると、
少し違った角度から
その会社の考え方に触れることが
できるかもしれません。

土間の使い方を検討することが多い
車庫・カーポートには
いくつか留意しておきたい規制があります。

こちらの記事も参考にしてみてください。
カーポート計画の注意点