プロが教える家づくりのヒント HINT

現場

リフォーム実例レポート


 
住宅建築のプロが納得できる
家づくりのヒントをお話しするブログ。
 
今回のテーマは「リフォーム」、
それも当社のモデルハウスの
実際の工事をレポートします!

リフォームって実際
いくらくらいかかるんだろう?
本当にきれいになるのかな?

リフォームの広告はたくさん見かけますが、
実際どうなのかって気になりますよね。

中島工務店では築10年を迎えた
可児モデルハウスの
リニューアル工事を実施、
今回はその様子をレポートします。
 
特にお客様から
よくご相談いただく箇所を取り上げて、
具体的な工事の様子や
およその金額をご説明。

外部木部の塗装や
無垢の床を削って塗装するなど、
木の家ならではの手法もありますので
参考にしてみてください。


この記事でわかること

 

□ リフォームの流れ
□ リフォーム工事の実態とおよその金額
□ リフォームの注意点


<今回取り上げる工事>
・無垢の床のサンダー掛け+塗装
・窓サッシの入れ替え
・吹き抜けの一部を部屋にする
・ウッドデッキ張替え
・外部木部の塗装

 
この記事に掲載している
工事の方法や金額は、
今回の可児モデルハウスの
リニューアル工事の場合です。

元の建物の造りや環境、
工事前の状況によって
工事の方法も金額も変わります。

 


中島工務店の場合、
リフォーム工事は通常、
次のような流れで進みます。

リフォーム工事の流れ
1)お客様からご相談をいただく
2)担当者がご要望やご予算を聞き取り
3)現地調査
4)設計 ※必要ない場合は省略します。
5)ご提案・御見積書を提示
6)ご契約

上記の流れの中で
「3.現地調査」は
既存建物の築年数や状態、
お客様のご要望によって
さらに詳細な調査を行う場合があります。

「4.設計」は、
例えばキッチンや洗面台といった
住宅設備の入れ替えや床の張替えなど、
間取りの変更や構造に関わる工事を
伴わない場合は省略します。

 

 


可児モデルハウスの場合は、
まず関係者で集まって
「現在のモデルハウスの問題点」と
「これからどんなモデルハウスにしたいか」
を話し合いました。

その結果、
●新築した2010年当時と現在では
温熱環境の考え方がやや違う。
現在の考え方に合わせて
断熱性能をアップグレードしよう。

●家で過ごす時間が長くなった今、
家族がほどよい距離感で過ごせる
空間にしよう。

という2点が
おもな目的として決まりました。

一般のご家庭でもここで
「何のためにどうしたいか」を
家族全員でしっかり検討することが
納得できるリフォームの第一歩
です。
 
可児モデルハウス
LITTLE KASHIMOの詳細です。

可児モデルハウスLITTLE KASHIMO
2010年3月竣工
延床面積 43坪(別途ギャラリー棟あり)
おもな外部仕上げ
屋根:陶器瓦(和型)
外壁:そとん壁・ガルバリウム鋼板
おもな内部仕上げ
床:桧上小節・杉上小節
壁:中霧島壁ライト

方針が決まったら、設計です。

今回はモデルハウスということもあり、
担当設計士は家族と一緒に
体験宿泊して実態を確認しました。

その上で改めて関係者みんなで
改修箇所を検討しながら、
図面にまとめていきました。

一般の皆様の場合は、
設計士が改修案をご提案しますので
わからない点があれば質問していただき、
納得できるまで検討してください。

改修内容が決まったら
工事スタッフの出番です。

現場監督が積算し、工程を組み立てました。

工事期間はモデルハウスを
休業しなくてはいけませんし、
工事完了後も写真撮影や
パンフレット類の制作など
リニューアルオープンに向けた
準備があります。

そうした期間も含めて十分調整した上で
工程と休業期間が決定。

2020年6月1日から休業、着工、
8月後半に再オープン
という運びになりました。

一般のご家庭の場合、
工事がある部屋の荷物を運び出したり、
工事の規模によっては一時的に仮住まいに
引っ越さなくてはいけないこともあります。

生活にも影響しますので、
どれくらいの期間、
どんな対応をしなくてはいけないか
設計士・現場監督とよく相談してください。
 
それでは具体的な工事のレポートに
いってみましょう!


 


中島工務店の家は無垢の木が特徴。
 
床も東濃ひのきや長良すぎの
無垢フローリングをおすすめしています。
 
無垢の床は年月とともに
飴色に変わっていく姿が
「経年美」として好まれていますが、
キズや日焼けの状態によっては
「いったんキレイにしたい」と
思われるお客様もいらっしゃいます。

そんなとき、建材の床なら
張り替えるしかありませんが、
無垢の床は表面を削ることで
木の美しさがよみがえります。

今回実施した
床のサンダー掛け+塗装は
無垢の木の家ならではの
リニューアル方法です。

というわけで、
まずは専用の機械で表面を削っていきます。

色が濃いところが削る前、
白いところが削った後です。

10年でこんなにも
深い色になっていたんですね~。

下の画像の通り、きれいに削れました。
が、画像の右半分はさらに白っぽいですよね。
これはここに家具を置いていた跡です。
 
表面を削っても、
日焼けの跡はある程度残ってしまいます。
2階こども室
削り終えたら塗装です。
使用するのはリボスカルデットという塗料。
 
刷毛と専用スポンジで塗っていきます。



全体を塗り終えました。

これでしばらく乾くのを待ちます。
 
天候によりますが、
だいたい半日から24時間くらいで乾きます。
 
無垢の床のサンダー掛け+塗装については
こちらの記事でより詳しく
レポートしていますのでご覧ください。
無垢の床のメンテナンス

 

 


新築のときに
「吹き抜けの開放感はほしいけれど、
子どもが大きくなったらもう一部屋ほしい。
とりあえず吹き抜けにしておいて、
いずれそこを部屋にするかなぁ」なんて
検討される方、いらっしゃいますよね。

それを具体的にやってみました。

可児モデルハウスの場合は、
ここにライブラリーコーナーをつくることで
家族がほどよい距離感で過ごせる
空間をつくるのが目的です。

もともと、吹き抜けに面して
共有のデスクコーナーがありました。

これを長時間心地よく過ごせるように
もっとゆったりした空間につくりかえます。

具体的には8畳分あった吹き抜けの半分、
4畳分に床を張りました。

まずは既存のカウンターの解体から。

1階から見るとこんな状態に。

ここに新しい床を張るために、
梁を掛けていきます。
照明は後で移設します。

見えないところで、
既存の梁にしっかりボルトで接続します。


2階部分に構造用合板、
杉の無垢フローリングの順で
張っていきます。

下から見える部分は新しい天井になるので
こちらも桧をきれいに張ります。

手すりをつくって・・・。


造作工場でつくられた書棚を設置、
塗装したら完成です。


吹き抜けだったところに
新しく4畳分のスペースができました。

今回は既存の吹き抜けに対して
オープンな造りにしましたが、
もちろん壁をつくって
独立した部屋にすることもできます。

 


断熱性能のアップデート方法のひとつが
サッシの入れ替えです。

窓の断熱性向上にはおもに2つの方法
①内窓設置
②サッシの入れ替え
があります。

内窓設置の方が簡単ですが、
今回はサッシを入れ替えることにしました。

サッシを入れ替えるためには
外壁を一部壊して
やり直さなくてはいけません。

可児モデルハウスでは、
左官壁の部分と板金壁の部分があったので
両方ご紹介します。
 
とはいえ、基本的な流れは同じ。

周囲の外壁を一部解体
→サッシを入れ替え
→再度外壁をつくる


です。

今回はサッシを
より高断熱な製品に入れ替えましたが、
サイズは変わっていません。

ですので、内壁の工事はありませんでした。

では、まずは左官壁の場合。

左官壁(今回はそとん壁)に
取り付けられたサッシを交換する場合は、
サッシまわりの左官壁を切り取ります。

左官壁の場合はこんな感じで、
壊す範囲は比較的小さくて済みます。

サッシを入れ替えたら、
再度壁をつくっていきます。

これは通常の壁を塗る工程と同じで
木摺の上に下塗りをして、仕上げます。


一方、板金壁(今回はガルバリウム鋼板)は
ガルバリウム鋼板1枚分を
まるごと剝がすことになります。

ガルバリウム鋼板は
外壁の上から下まで長い板を張っているので
それをすっかり剥がします。

部分的に切ると見ためにも
外壁としての性能にもよくないので、
これはやむを得ません。
窓まわりを同様に剥がします
こちらもサッシを入れ替えた後は
新築のときと同じように
ガルバリウム鋼板を張っていきます。

最後の画像にあるように、
2階の窓サッシを入れ替えるときには
足場が必要です。

せっかく足場をつくるなら
外壁や屋根の塗装も
一緒にやるように計画すると、
お金の面でもスケジュールの面でも
効率的です。

 

 


外部木部というのは
破風や鼻隠し、軒天など
外にあって木でできているところです。

中島工務店のお客様は
木が好きな方が多いので
外部にも木を使っていただくことが
よくありますが、
どうしても傷みやすいのが
この外部木部です。

築10年経った可児モデルハウスも
こんな感じになっていました。


今回はここに
オスモ カントリーカラープラス
という塗料を塗ります。

先ほどの床と同様に
いったん表面を削って
塗装する方法もありますが、
カントリーカラープラスは
表面を削らずにそのまま塗れるのが特徴。
 
可児モデルハウスは
元の塗装が濃い色だったので、
そのまま上から塗る方法を選びました。

こんな感じになりました。
きれいになりました!


下の画像では右半分だけ塗装済です。
違いがよくわかります。

可児モデルハウスには
このような濃い色の木部のほかに、
木そのものの色を活かした部分もあります。

そういった部分は表面を削って
クリア塗装し直しました。

白っぽくなっているところが
削った部分です。


外部木部も表面を削って塗り直すと
見違えるようにきれいになります。


 


ウッドデッキも
傷みやすいところのひとつです。

特に可児モデルハウスのウッドデッキは
屋根や軒がないためか、
ずいぶん傷んでいました
(お客様宅でもここまで傷んでいるのは
なかなかありませんのでご心配なく!)。

部分的な補修も検討しましたが、
調査の結果、土台まで傷んでいたので
今回はすべてつくり直すことに。

まずは解体です。
木を1本1本バラしていきました。

新しいデッキの木材は
ウッドエイドカラー
という塗料で塗装します。

中島工務店では「先行塗装」といって
おもな部材をあらかじめ
工場で塗装してから現場に納品します。

その方が作業効率がよく、
仕上がりもきれいになります。

土台を組みます。

その上から板材を張って・・・。

完成です!


この記事では
工事の箇所別にご紹介しましたが、
実際にはいろいろな工事が
並行して進みます。

実はここでご紹介したほかにも
いくつかの工事をしましたので、
工期はおよそ2カ月弱でした。

 

 


さて最後に、皆さんが気になる
リフォームの費用をご紹介します。
 
サンダー掛け+塗装
(1階・2階・階段):約28万円
サッシ入れ替え
(外壁やり直しを含む、足場別途)
①YKKapエピソードたてすべり出し窓
そとん壁部分:約9万円
②YKKapエピソードたてすべり出し窓
ガルバリウム鋼板壁部分:約13万円
外部木部塗装:合計 約54万円
足場設置費:約30万円

最初にも書きましたが、
今回の工事の方法と金額は
あくまで可児モデルハウスの場合です。

既存建物の状態やご要望によって
工事の方法も金額もずいぶん変わりますので、
参考としてご覧ください。

床のサンダー掛け+塗装は、
実際には部屋単位で
ご相談いただくことが多いので、
例えば「8畳の部屋でいくら」といった
見積もりをさせていただくことになります。

窓も今回例に挙げたのは
いずれもトイレの窓ですが、
大きさや種類によって違ってきます。

どこを何のために、
どんな風にリフォームしたいのか、
予算はいくらくらいなのかを
よく検討してご相談ください。
 
 
新築をご検討中のお客様には
「家族がほどよい距離感で過ごせる木の家」
リフォームをご検討中のお客様には
「建物を暮らしに合わせてつくり直す方法」
をご覧いただける
可児モデルハウスLITTLE KASHIMO
ぜひご来場ください。


 


今回のリニューアルに際し、
名古屋の家具店「鈴屋」の鈴木貴詞社長に
インテリアのご協力をいただきました。

とはいっても家具などは
既存のものを使うという制約つき。

なかなか難しい条件でしたが、
逆に今あるものを活かした
インテリアの参考になる
仕上がりになりました。

インテリアのテーマは『東濃モダン』。

元からあるものに
何をどう足したり引いたりしたのか、
ぜひ現地でご覧ください。