設計
格子のおしゃれな使い方と注意点
住宅建築のプロが納得できる
家づくりのヒントをお話しするブログ。
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今回のテーマは「格子」です。
格子とは細い部材を縦や横に組んだもの。
町家の外観などで見かけることが多いためか
和風な印象を受ける人が多いようです。
例えば下の写真のお住まいは
格子がなければ
和の印象はほとんどありませんが、
2か所に格子を配したことで
おしゃれな和モダン住宅に
仕上がっています。
こちらのお住まい、
1階の格子の奥は自転車置き場、
2階の格子の奥はベランダです。
どちらも格子を目隠しに使って、
和の印象を醸し出しつつ生活感を抑え
プライバシーを確保しています。
このように格子を上手に使うと
目隠しや風通しといった機能を果たしつつ、
おしゃれな和モダンらしい外観や
インテリアを演出できます。
今回は格子の目的や使い方の注意点、
太さの選び方、メンテナンスの注意点などを
多数の当社施工事例をご紹介しながら
解説していきます。
なお、アルミ製の格子などもありますが、
ここでは木の家に似合う木製の格子
「木格子」を取り上げます。
この記事でわかること
□ 木格子を使う目的
□ 格子のデザインの考え方
□ 格子を使うときの注意点
□ 格子のメンテナンス
□ 格子のデザインの考え方
□ 格子を使うときの注意点
□ 格子のメンテナンス
目次
1.格子の目的-外部に使う場合
2.格子の目的-内部に使う場合
3.格子のデザイン-縦格子と横格子
4.格子のデザイン-格子の太さ・隙間
5.格子の注意点①
完全な遮光性はない
6.格子の注意点②
7.格子の注意点③
掃除はちょっと手間
8.格子の注意点④
使いすぎると牢屋みたい
9.格子のメンテナンス
10.格子を上手に使おう
外部に使う場合の目的はおもにこちらです。
●デザイン:
「線」を強調したデザイン的な演出ができる
隙間があるので「抜け感」も
隙間があるので「抜け感」も
●目隠し:
外からの目線を遮る
外からの目線を遮る
●防犯:
窓の外につけると侵入しにくくなる
窓の外につけると侵入しにくくなる
●風通し:
戸や窓に使うと
目隠し・防犯と風通しを両立できる
戸や窓に使うと
目隠し・防犯と風通しを両立できる
●日射取得:
目隠し・防犯しながら
室内に日差しを取り込める。
目隠し・防犯しながら
室内に日差しを取り込める。
では、具体的な事例を見てみましょう。
下の画像のお住まいでは
玄関戸と玄関の両側の窓に
格子を使っています。
アルミ製の格子を使うより
木の家らしい印象で、
玄関戸も格子にすることで
軽やかな印象に仕上がっています。
照明計画もしっかりしておくと、
夜には内部の光が外に漏れて、
さらに印象的な雰囲気を
醸し出すこともできます。
●デザイン:
壁にするより抜け感ある印象に
壁にするより抜け感ある印象に
●目隠し:
室内でも空間のちょっとした目隠しに
カーテン代わりに窓まわりに
格子戸を配置したのが下の事例です。
外からの目線を遮りながら、
ほどよく光を取り入れています。
もちろん風通しも十分です。
室内でも空間のちょっとした目隠しに
●風通し:
目隠ししながら室内に風を通せる
目隠ししながら室内に風を通せる
●日射取得:
ほどよく光を取り込める
ほどよく光を取り込める
カーテン代わりに窓まわりに
格子戸を配置したのが下の事例です。
外からの目線を遮りながら、
ほどよく光を取り入れています。
もちろん風通しも十分です。
室内の戸を格子にしたのがこちらです。
開いているとき(1枚目)は
縦格子が室内のアクセントとなっていて
2枚目のように閉じても
抜け感があります
(画像は途中まで閉じたところ)。
来客時などは奥にあるキッチンを
見えにくくしつつ、
風通しを確保できます。
格子には、
部材を縦に見せる縦格子と
横に見せる横格子があります。
住宅展示場長久手Studioでは、
外観に縦格子、内部に
横格子を使っています。
古い町家などの印象でしょうか、
縦格子を使うと
和風・和モダンな印象になります。
横格子は和・洋どちらにも使えます。
中島工務店では
横格子は手すりに使うことが多く、
特に上の事例のような
吹き抜けにつながる手すりに使うと、
横格子は抜け感がありつつ
下からの目線を遮ることができるので
好評です。
下からの目線を遮ることができるので
好評です。
ところで、格子は斜めにもできますが、
斜めだといっきに洋風になります
(ラティスですね)。
逆に洋風に使いたいときは、
斜めにしてみるのもよいでしょう。
一般的には細い方が繊細な印象、
太くなると大胆な印象を与えますが、
格子全体の面積にもよります。
むしろ、より印象を決めるのは
部材と部材の隙間です。
下の事例は1階が隙間が狭く、
2階が隙間が広い格子です。
部材そのものは2階の方が細いのですが
隙間が狭い1階の方が
繊細な印象を与えます。
実は、格子の隙間の取り方には
基本ルールがあります。
基本ルールがあります。
「小間返し(こまがえし)」といって
部材の幅と隙間を一致させるもの。
つまり、1本の部材の幅が3cmなら
部材どうしの隙間も3cm空ける
ということ。
小間返しにすると
格子がきれいに見えるとされています。
あとは全体のバランスによって
太さや隙間の大きさを
決めていきましょう。
外部に目隠し目的で使う場合は、
外からどのくらい見えてもよいかによっても
太さや隙間は違ってくるので、
慎重に検討しましょう。
※小間返しについては
「部材の奥行と隙間を同じに」
という解釈もあります。
今回は建具屋さんの意見もいただいた上で
「幅」としました。
ここまでに見てきたように、
格子は光や風を通しつつ
目隠しや防犯の役割も果たし、
さらに比較的手軽に和風・和モダンな
デザイン性を叶える
使い勝手のいいパーツです。
とはいえ、やはり注意点もあります。
ひとつめは格子には
完全な遮光性はないということ。
例えば下の画像は
玄関に格子戸を配した事例ですが、
影のでき方でわかる通り、
かなり日差しを通します。
カーテンや障子と比べると、
遮光性が高いのは
1位カーテン
2位障子、
3位格子
の順です。
寝室など完全に遮光したい部屋には
格子よりカーテンや障子が
向いているといえます。
それでもデザイン的に
格子を採用したい場合は、
別途カーテンを取り付けるなど
遮光対策が必要です。
例えば下の写真は、
目隠し目的で格子をつけた事例を
外から見たときと中から見たときです。
中から見ると「意外と外が見える」と
思われるかもしれませんが、
外からはそこまでは見えません。
思われるかもしれませんが、
外からはそこまでは見えません。
建物が前面道路から
少し奥にあるせいもありますが、
暗い方(室内)から明るい方(屋外)を
見た方がよく見えるのが大きな理由です。
逆にいうと、外の方が暗い夜は
中が見えやすくなるので注意が必要です。
実際に格子を採用するときは、
どのくらいの距離でどの程度見えるのか
設計士とよく相談しながら
決めるようにしてください。
横桟にホコリが積もりやすく、
さらに縦格子の隙間に
手やモップなどを入れて
掃除しなくてはいけません。
さらに縦格子の隙間に
手やモップなどを入れて
掃除しなくてはいけません。
細かい掃除が好きではないなら、
あまりたくさん格子を
使いすぎないようにしましょう。
外部なら壁や屋根、
内部なら壁・床・天井との
バランスが重要なので、
こちらも設計士と十分相談しましょう。
内部なら壁・床・天井との
バランスが重要なので、
こちらも設計士と十分相談しましょう。
外部は年月とともに塗装がはげていくので、
2~3年に1回は塗り直しをおすすめします。
手が届く範囲なら自分で塗り直し可能です。
2階などは危ないので、
実際には外壁や屋根の塗り直しのために
足場を組んだときに、
一緒に格子など木部を塗りなおす
ケースが多いです。
つまり、手が届かないところの格子は
塗装がはげてきても
しばらくそのままにしなくてはいけない
可能性があります。
気になるようでしたら、
格子をつけるのは
手で塗り直しできる範囲にしておくと
よいでしょう。
なお、外部の格子の上に
笠木や庇をつけると傷みにくくなります。
下の画像では1階左側の窓の格子に
小さな庇がついています。
この庇がないと
木材の小口(切断面)に雨がかかって、
とても傷みやすくなってしまいます。
木材の小口(切断面)に雨がかかって、
とても傷みやすくなってしまいます。
こちらのお住まいでは
ほかにも格子を使っていますが、
すべて軒下にあるか
庇がついていますよね。
こうすることで格子を
きれいに長持ちさせることができます。
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