ふるさとに住み続ける技を伝える(すご技中津川プロジェクト)

ふるさとに住み続ける技を伝える
(すご技中津川プロジェクト)



「これまでいちばん困ったことは何ですか」
また「嬉しかったことは」などの質問攻めとなるのは、
工場を見学した中津川市内の地元小・中学校児童・生徒による
「すご技プロジェクト」でのことです。

自分たちが住んでいる地域では、どんなものが生産されているか。
そして、市内のすご技を持つ企業について学んだり話しを聞いて、
地元企業の魅力や働くことの意義に気付き、将来、地元定着を狙いとする
中津川市教育委員会が企画した授業の一つです。

このプロジェクトが始まって6年目となり、
市内の小・中校の児童・生徒数は減少していますが、
私たちの会社を訪れる学校数は年々増えています。

私たちの会社は、
公共事業部門は、土木工事を始め舗装工事や水道工事を、
建築部門は、大型の建造物のほか一般住宅、
社寺建築や歴史的建造物の修復工事なども行っています。

このプロジェクトの授業では、専ら木造住宅づくりの見学を進めています。

将来を担う地元小中学生に伝えたいこと。
私たちの会社が、何故、国産材にこだわって住宅づくりを進めているか。

これには重要な意味が込められていることを、いつもお話ししています。
それは木造建築に限らず会社の経営方針として、
祖先たちが営々と守り抜いてきた森林、
ヒノキやスギの木材資源を活かしながら故郷を守るという目標についてです。

私たちの会社は、人口が集中する中部圏の都市部から離れ、
御嶽山などの日本の脊梁地帯に向かって入り込んだ
岐阜県北東部の中津川市加子母にあります。

周囲は山に囲まれた人口2千人余りの地域で、
ここは過去(1965年)の調査では、
おおよそ6千年以上にわたって
日本固有の木曽ヒノキが生育していました。

木曽ヒノキは全国の有名な建造物に使用されるなど、
現在では、一部地域に僅か残るほど、そのほとんどが枯渇し、
戦中戦後に育てられた美しいヒノキ林(東濃ヒノキ)が
大量に温存されています。

この優れた森林資源を木造住宅などとして活かしながら
郷土を再生すると決めて努力し続けているのです。

工場に到着した児童生徒は、
元気よく挨拶をしながら会議室に入ります。
いつも学校で行われているように朝礼を行ったあと、
映像で会社の概要を説明します。

説明の中心は木造住宅ができるまで。
森林の伐採から木材市場、製材所、
構造材や内装材の加工、そして建て方まで、
国産材を有効に使った手作り住宅ができるまでについて学びます。

森林の働きについて、水源涵養など
既に学校の授業で学んだ機能について学びます。

日本の森林帯の4区分のうち、
私たちが住む地域の森林(温帯林、ブナ帯)には、
古くからブナの代わりにヒノキが育ち、
国内の重要な建造物の材料となっているなど
木の文化が育まれてきたこと。

樹木の生長、木材資源そして木材利用など、
森林や木材が地球温暖化防止の働きには、説明に力を注いでいます。

森林のはなしになると児童・生徒の注目が集中します。

天然林と人工林、針葉樹と広葉樹など
日本の森林には多くの植物や野生動物が生存することなども学びます。

見学会が終わると、いつも児童・生徒の全員から
素晴らしい感想文が届きます。

その一例を挙げれば、
「木の家を建てることが、環境を守ることにつながっていてびっくりした。」
「家づくりに興味を持った。」
「機械の値段が思った以上に高かった!」など。

「お話を聞いて、将来設計士や建築士になりたいなと思いました。」
「大人になったら中島工務店で家を建てたいです。」
「私はこれから環境問題を考えて生活したいと思いました。」など圧巻です。