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レザークラフトのはなし



趣味とは言えないほど時々、
なめし革で小物を作っています。

少し前にプレゼント用に
文庫本サイズと新書サイズの
ブックカバーを作りました。
 
革を触るようになって、
いろいろと気づかされることがあります。

まず、なめし革には大きく2つの種類があり
植物性のタンニンなめし革、
化学薬品を使うクロムなめし革があります。

タンニンなめしは伝統的ななめしの技法で、
大変手間と時間がかかるようで、
生産量も少なく、
生産できる工場も少ないようです。

繊維がしっかりと絡まり腰が強く、
丈夫で経年変化もある味わいのある革で、
レザークラフト用として
「ヌメ革」という名前で売られています。

ヌメ革はタンニンなめしというだけでなく、
表面となる銀面に
型押しや表面処理がされていない革のことで
水シミはできるし、
太陽光に当たると変色するしで
製品としては売るのが難しく、
主にクラフト作家やレザークラフトの
材料として使われており、
あまり街中の革製品では見かけません。

逆にクロム鞣しで表面を処理してるものが
本革製品として沢山売られており、
汚れが付きにくく、薄く、やわらかで、
経年変化も起こり難い利点もあるのですが、
革らしさはないものが多く、
フェイクレザーと見わけもつかないものもあります。

革の良し悪しが分かるわけではありませんが
少なくともヌメ革でつくるのが
レザークラフトの醍醐味だと思っています。
 
縫い方にも大きく2種類あって、
ミシン縫いと手縫いがあります。

手縫いの場合は
フォークのような穴あけ器で
先に縫い穴をあけて、
そこに針で糸を通して縫います。

すべての穴をあけて、
すべてに糸を通していくと思うと
気が遠くなりますが、
無心になれる作業です。

穴の形状により
縫い上りの糸の並び方にも
影響するだけでなく、
縫うときの糸の通し方の手順によっても
仕上がりの糸の並びに影響があります。

さらに糸にはロウを塗るのですが、
材料には麻やポリエステルなどがあり・・・・。
 
とにかく、沢山のバリエーションの中から
自分の技量とコストと好みによって
素材と道具と手法を選び出すことができ、
こう書くと恐ろしく敷居の高い趣味ですが、
あまり深く考えず、
とっつきやすいものから始めるしかなく、
ヌメ革に菱目打ちピッチ4㎜で穴をあけ、
ポリエステル糸のロウ曳きで
縫い上りが斜めになる平縫いで作っています。

最近丸目打ちなるものを買い、
丸穴で糸が水平になる縫い方をしたいと
思い始めています。
 
革という人間が古来から
使っている材料ですが、
様々な工夫と技術の進歩により
発展を遂げており、
またご多分に漏れず、
大量生産大量消費、低コスト、
均一な仕上がりを求めるあまり、
行き過ぎた技術は
一時的に氾濫し跋扈しますが、
結局、伝統的で手間暇をかける
作り方によるものが良質だったりします。

合理的ではない手作り。

結局ここに行きつくのは
建築もまたしかりではないのかと思ったりします。

 
 



名古屋支店 香田雅紀