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関西

2000年色褪せない名画



先日、徳島県鳴門市にある
陶板名画の美術館「大塚国際美術館」に
友達と行ってきました。
 
ここは「陶板に転写しただけの絵」の
常設展示だけで、
しかも前売りなど
各種割引チケットはほとんどない
高飛車な入館料3,300円
(実際日本一高いらしい)を取りながらも、
土曜日曜日は駐車場が25年もの間
つねに満車状態だという驚きの施設。

その人気の秘密を探ってみました。(笑)
 
 
まず訪れて玄関ホールで最初に目にするのは
長~い登りエスカレーター。
ざっと地上4階分はあるでしょうか。
しかも上がった先はB3という地下? え?
 
そして上がった瞬間どーーーんと
前に現れるのがこの美術館の目玉、
ミケランジェロの天地創造を描いた
「システィーナ礼拝堂」。

まるでそのもののを移築したような巨大空間です。
 
こればかりは入ってみないと
ぜったい伝わらない驚きの大空間。
 
ちなみにこの美術館は
フラッシュと三脚を使わなければ
カメラ撮影はOK。
SNSの影響もあり
最近撮影OKなところが増えましたね。(^^)
 
この他の遺跡の展示では
発見された礼拝堂の作品のみならず
足元の砂地の床や外光の入り方、
壁画の傷んで剥がれたところまで
その空気感までもが
忠実に再現されていたのは
お見事というほかはないです。
モネの睡蓮の展示では山を削って外部とし、
30mは超す巨大な絵画の周りに
実際にスイレンの池を作って
そこがカフェテリアになっていました。

これも雨ざらしになっても平気な
陶板名画ならではの展示で
吹く風が気持ち良く、
ここでゆっくりランチをしました。
面白かったのは、ギリシャの壺の展示。

通常本物ではない場合は
壺のレプリカを展示するところだけど、
ここでは壺をパノラマ写真に撮って
展開したものを陶板に焼いて
展示していました。

こんなのは見たことがなかったので
はじめはなんの事かわからなかったですが、
写真をみて理解しました。

地球を平面の地図にした時に発生するような
上下のゆがみはありますが
中心部の絵を見るだけなら
この方が良いと思いました。(笑)
大きな部屋では
ダビンチの「最後の晩餐」が実物大で、
しかも修復前と修復後が
向かい合って展示されていました。

これも実際にはありえない展示で
とても興味深かったです。

でもはっきり言うと僕は
修復前の少し暗めの方が好みです。(笑)
最後にピカソのゲルニカ。

この作品は僕は実際に
スペインのプラド美術館で観ましたが
(現在は同じくマドリッドの
ソフィア王妃芸術センターにあります)、
はじめて目の前にした時
その巨大さにびっくりした記憶があります。
 
それまで画集でしか見たことがなく
大きさを把握してなかったからですが、
今回何十年かぶりにその大きさに触れて
改めて感動しました。

「実物大」の持つ意味は
想像以上に大きいと思います。
 
世界初の陶板名画の美術館という
鳴り物入りで開館しても、
人が来るのは最初の数年で
そのあとは閑古鳥、、、。
なんて話しはよくあると思いますが、
25年もの間、
いまだ来場者がひきも切れないのは、
施設スタッフのたゆまぬ努力もさることながら、
ここの展示物が名作の
単なるコピーやレプリカという範疇をこえて、
焼き物という永遠の命を与えられ、
最大限の工夫を凝らした展示方法や
それをささえる建築の在り方も
大きいと感じました。
 
ちなみに設計は坂倉建築研究所、
施工は竹中工務店です。

竣工の銘板には
それぞれの代表者だけでなく、
建築主大塚正士氏の
「建築は最高の芸術である」
との言葉とともに、
建築にあたった大工や左官、
電気や配管、内装業者さんまで
今まで見たことがないレベルで
たくさんの方の名前が書かれていたのも
建築に関わるものとして
とてもうれしく思いました。 
 
美術ファンのみならず、
建築好きな方は
一度訪れてみてはいかがでしょうか。

大塚国際美術館
https://o-museum.or.jp/



大阪支店 筒井克佳