現場リポート REPORT

地盤改良工事



南砂のいえの地盤改良工事が行われました。

地盤改良工事は建物が建つ場所の地面に
液状化などの可能性がある場合に行います。

建物を建てる前の最初の工事になります。



 

地盤調査



建物を建てるときはその土地の地盤
(建物の基礎を支える地面)の
調査が必要です。

これは保証の問題もありますが、
安全面にも大きく関係しています。
 
建物に係る力は
柱・梁・基礎を通って
最終的に地盤に伝わっていきます。

建物自体がいくら頑丈でも地盤が弱いと
力に耐えきれず沈下したりします。

地盤は目視による評価がほとんどできず、
近隣で同じ評価になるとは限らないため
調査が必要になります。

調査の仕方は主に
「①表面波探査」と
「②スウェーデン式サウンディング試験」と
「③ボーリング試験」
の3種類あります。

①表面波探査法:
体ではほとんど感じることのない
振動を地盤に与え、
その振動の波の速度を計測し
解析を行います。

②スウェーデン式サウンディング試験:
先端がスクリュー状になった棒を
回転貫入させて
頑丈な地層までの深さや
地層の構成を測定します。

③ボーリング試験:
頑丈な地層まで掘削機で穴をあけ、
地面をくりぬいて調査します。
深さの測定だけでなく
地下水位や地質まで解析できます。

③ボーリング試験は
多くの情報を得ることができますが、
大掛かりになりコストも上がります。

戸建て住宅では
コストと敷地の大きさを考慮し、
①表面波探査法か
②スウェーデン式サウンディング試験で
調査されることが多いです。

大規模な建物
(マンションや公共施設など)の場合は
③ボーリング調査が
使用されることが多いです。
 
調査は1か所だけでなく複数個所行います。

住宅の場合、計画している建物の四隅と
中心になる場所の計5か所を調査します。

今回、南砂のいえでは
②スウェーデン式サウンディング試験で
地盤を調査しました。

調査の結果、
地盤があまり強くないため
改良工事が必要と判断しました。



 

地盤改良工事



地盤改良には方法がいくつかあります。

大きく分けて
「A.表層改良」
「B.柱状改良工法」
「C.鋼管杭工法」
の3種類あります。

A.表層改良工法:
建物基礎の下にある地面の表面全体を
1~2m程度まで掘り、
セメント系固化材を加えて
均一にかき混ぜて締め固めます。
 
使用する機器も大掛かりでなく
狭小地でも使用できます。
頑丈な地盤が地面から
2m以内にある場合に有効です。

B.柱状改良工法:
表層改良工法で強度を出すのが難しい
地盤の場合に使用します。

建物を建てる敷地に規則正しく
コンクリートの柱を何本も注入して
地盤を固めます。
 
地震の際はコンクリート柱と
地中の土の摩擦で地盤が一体化し
揺れから家を守ります。
 
使用できない土質の地盤があり、
作業も大掛かりになりやすいため
制限があります。

C.鋼管杭工法:
柱状改良工法の柱をコンクリートから
鋼管に置き換えた工法です。

土質の制限が緩和し、
作業も柱状改良工法ほど
大掛かりになりません。

改良の方法はコストも関係しますが、
地盤調査の結果を基にして
建物の耐震性と計画地の性質に合わせて
選ぶことが重要です。




鋼管杭工法



南砂のいえは鋼管杭工法を選択しました。
現場に鋼管杭が搬入されました。



先の広がっている部分が下になり、
地面に埋まります。

杭の長さ・直径を測り、
間違いがないか確認します。



杭をそのまま打ち込むのではなく
先に穴を掘っておきます。

地面に対して垂直に掘らないと
杭が効かないため、
慎重に調整します。



掘り終わったらいよいよ杭を打ち込みます。

先穴と同様に地面に対して
垂直になるように調整しながら行います。



打ち終わったら所定の深さまで
届いているかの確認をします。



杭の先端がこれから建てる建物の
基礎に接することで力が伝わります。

高さがズレてしまうと
意味がなくなってしまうので
しっかりと測定します。

無事に打ち込めました。



最後に杭に蓋をして完了です。
南砂のいえでは杭を33本打ち込みました。

土地によっては地盤改良が
必要ない場合もあります。

東京の場合は江戸時代に
海や川を埋め立てて造成した土地も多いため
特に注意が必要です。

次回は基礎工事に入っていきます。



東京支店 小此木恒