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家づくり

2022年度住宅関連補助金をチェック!

住宅建築のプロが納得できる
家づくりのヒントをお話しするブログ。

今回のテーマは
「2022年度住宅関連補助金」です。
4~5月は国や自治体の
補助金の募集が始まる季節です。

2022年度も2021年度までの補助金と
大きな違いはありませんが
一部予算や対象が拡充または
縮小された補助金があります。

今回は新築住宅を対象とした
おもな2022年度補助金を確認し、
実際に補助金をとるならどれが狙い目か
さらに補助金を利用する際の注意点

まとめます。

取り上げる補助金は以下の通り。
①こどもみらい住宅支援事業
②地域型住宅グリーン化事業
③ZEH化等支援事業(通称ZEH補助金)
④次世代ZEH+実証事業
⑤次世代HEMS実証事業
⑥LCCM住宅整備推進事業

詳しくはこれから解説しますが
全体的に省CO2という政府方針に従い
ZEHやLCCM住宅を優遇する制度
だといえます。

それでは詳しく見ていきましょう。


まずは2022年度のおもな
新築住宅関連補助金を
まとめておきましょう。

要件を満たせば
55~200万円の補助金がもらえる
というのは大きいですね。

すべての補助金の要件に
ZEH、LCCM住宅という
CO2排出量削減を目的とした住宅が
設定されていることから、
国が住宅にも省CO2、
カーボンニュートラルを
本気で求めていることがわかります。

ただZEH、ZEH+など種類がたくさんあって
違いがわかりにくいですよね。

ZEHの場合はここに記載された3種類のほか、
多雪地域や都市部狭小地などを対象に
Nearly ZEHやZEH Oriented でもよい
とされているなど、
さらに細かい規定があります。

我が家が補助金の対象になるか
確認するための基本事項なので、
補助金の詳細を見る前に
それぞれの定義を確認しておきましょう。

国土交通省住宅局がまとめた
令和4年度住宅関連補助事業は
こちらからご確認ください。

ZEH関連補助金は
こちらの資料がわかりやすいです。

 


□ 長期優良住宅

名前の通り、長期にわたって
良好な状態で使用するための
措置が講じられた優良な住宅。

耐震性・省エネ性・劣化対策・
可変性・バリアフリー性など
既定の基準を満たすと認定が受けられます。

具体的には耐震等級2以上、
断熱等級4以上など
クリアしやすい基準なので、
大手ハウスメーカーはもちろん、
一般的な工務店でも標準にしている
会社が多くあります。

地域型住宅グリーン化事業に申請するなら
長期優良住宅が最も要件を満たしやすい

ですが、実際には簡単に
補助金がもらえるわけではありません。

そのあたりはのちほど
補助金別に解説します。


□ ZEH・Neary ZEH・ZEH Oriented
ZEH(ゼッチ)は
ネットゼロエネルギーハウスの略。

消費するエネルギーと
太陽光発電などで創出するエネルギーを
差し引きするゼロ以下にする住宅です。

一定以上の断熱性能と高効率な設備で
消費エネルギーを抑えつつ、
太陽光発電などで創エネした結果、
生活で消費するエネルギーより
創り出すエネルギー量が
多くなるように設計します。

Nearly ZEH(ニアリーゼッチ)は
寒冷地や多雪地域、
低日射地域などで必要な設備を搭載しても
創出エネルギー>消費エネルギー
とならない地域を対象に
条件が緩和されたもの。

ZEHでは一次エネルギー消費量が
省エネ基準に対して100%以上
削減されていなければならないのに対し、
Nearly ZEHは
消費エネルギー削減率75~100%でOK
です。

ZEH Oriented(ゼッチ オリエンテッド)は
多雪地域や都市部狭小地など
現実的に太陽光発電の搭載が困難な
地域を対象に条件が緩和されたもの。

屋根が小さくて必要な発電量を確保する
太陽光発電を搭載するのは無理!!!
というケースで、
ZEHの基準をクリアしていれば
太陽光発電など創エネ設備を
搭載しなくてもOK
です。

こちらは対象地域が限られますので
建築予定の住宅会社に確認してください。

※UA値は4地域~7地域の場合。
愛知・岐阜・三重はすべて該当します。


□ ZEH+・次世代ZEH+
ZEH+(ゼッチプラス)はその名の通り
ZEHに+α の省エネ・省CO2機能を
付加したものです。

ZEHの要件を満たした上で

①太陽光発電などを除く
一次エネルギー消費量が
省エネ基準▲25%以上
(ZEHより5%アップ)、

②断熱等級5を超える断熱性能・
高エネルギーマネジメント・
電気自動車への充電設備の
いずれかを導入するのが要件です。

断熱性能5はUA値0.60でZEH相当。
(4~6地域の場合)

つまり付加断熱などで
ZEHより断熱性能をアップするか、
高エネマネ設備としてHEMSを取り入れるか
EV充電ポストを導入すれば
ZEH+というわけです。

※HEMS(ヘムス)
ホームエネルギーマネジメントシステム。
家具や電気設備をつないで
エネルギー消費量を見える化したり、
家電を自動制御で最適化するシステム。


次世代ZEH+はZEH+に
さらに設備を追加して
省エネルギー・省CO2を図るもの。

V2H設備(電気自動車等から住宅に電力を供給する設備)・
蓄電システム・燃料電池・
太陽熱温水利用システムの
いずれかを導入する必要があります。

つくったエネルギーを
さらに自家消費できるシステムを
導入するのが要件ですね。


□ 認定低炭素住宅
地域型住宅グリーン化事業の
もうひとつの要件が認定低炭素住宅です。

認定低炭素住宅は省エネ基準に対して
一次エネルギー消費量が
マイナス10%以上が必須基準。

長期優良住宅より
クリアしやすい基準ですね。

これに加えてHEMS・節水機器・
木材利用・敷地や壁面緑化の
いずれかを取り入れていることが条件です。


□ LCCM住宅
LCCMとは
ライフサイクルカーボンマイナス、
その建物の製造から廃棄までの
ライフサイクルを通して
CO2排出量をマイナスにする住宅です。

製造時から廃棄までの計算が必要で
CASBEE(キャスビー)
(建築環境総合性能評価システム)で
評価します。

LCCM住宅はZEHよりレベルが高く、
実績がある住宅会社も少なくなっています。
 
以上、2022年度新築住宅関連補助金の
要件を確認してきました。

それではそれぞれの補助金について
確認していきましょう。

 

 

ここからは各補助金の特徴、
2021年度との違いと狙いめ度を
紹介していきます。

「狙いめ度」は
中島工務店の独断です(スミマセン・・・)

が、実際とりやすい補助金と
とりにくい補助金ってあるんです。

いろいろな補助金に応募してきた
工務店の実感にもとづく見解として
参考にしていただければと思います。
 
まず、2021年度補正予算から
継続している補助金として
こどもみらい住宅支援事業があります。

子育て世代を対象に
最大100万円を補助してくれるので
たいへん人気があります。

補助金申請額が予算上限に達したため
交付申請および交付申請予約の受付を
終了しました(11月28日発表)。


狙いめ度 ★★★★☆

原油高・物価高として予算も拡充され
とりやすくなっているので
2003年4月2日以降に生まれた
お子さまがいる世帯、
ご夫婦のいずれかが
1981年4月2日以降生まれの世帯には
一番おすすめ
です!


□ 対象者
・申請時点で2003年4月2日以降に
出生した子どもがいる世帯
・申請時点で夫婦であり、
夫婦のいずれかが1981年4月2日以降に
生まれた世帯

□ 住宅の要件と補助金額
・ZEH→100万円
・長期優良住宅・認定低炭素住宅・
 性能向上計画認定住宅→80万円
・断熱等級4かつ
 一次エネルギー消費等級4の住宅→60万円
※断熱等級4・一次エネルギー消費等級4の
住宅の申請は2022年6月30日契約分まで。


予算上限のため、終了となりましたが
令和4年度補正予算案が閣議決定され
新たに「こどもエコすまい支援事業」
創設が盛り込まれました。

 

次に、地域型住宅グリーン化事業。
 
もう何年も続いているおなじみの事業で
採用実績のある工務店も多いでしょう。

各地域における木造住宅の
生産体制強化を目的とした事業で、
地域の原木供給者・製材所・
プレカット工場・中小工務店などから
成るグループが対象です。

つまり、大手ハウスメーカーは
使えない補助金です。

先ほどご紹介した住宅の種類ごとに
補助金額が設定されていて、
2022年度は補助金額が一部拡充されました。

これらに加えて加算措置があり
複数採用する場合は上限60万円です。

この加算分最大60万円をプラスすることで
地域型住宅グリーン化事業は最大200万円
という補助金がもらえるんです!

<加算措置>
・主要構造材の半分以上に地域材を使用する
 → 20万円 / 戸
・地域の伝統的な建築技術の継承に資する
 → 20万円 / 戸
・三世代同居で玄関・キッチン・
 浴室またはトイレのうち
 いずれか2つ以上を複数箇所設置
 → 30万円 / 戸
・40歳未満の世帯
 または18歳未満の子を有する世帯
 → 30万円 / 戸
・バリアフリー対策を講じる場合
 → 30万円 / 戸

クリアしやすい条件が多いですね!
主要構造材と伝統的な建築技術については
そもそもこの補助金が
地域材や伝統的建築技術を活かした
住宅づくりを支援する目的なので、
この補助金に応募可能なグループに
属している工務店なら
ほぼ対応しているでしょう。

もちろん中島工務店もそうです。

狙いめ度 ★★☆☆☆

クリアしやすい基準なのですが
残念ながら狙いめ度は低め。

というのも、
とにかく枠が少ないからです!

上の表をもう一度ご覧ください。
「4戸以上の実績がある事業者の場合」
の欄を見ると、
そうではない事業者より
補助金額が低いのがわかりますよね。

この補助金は中小工務店に
長期優良住宅やZEHを建てる技術を
広げることも目的としているので、
これまでに実績がない工務店が
有利になるようにできています。

同じ理由からできるだけ実績がない工務店に
補助金を行きわたらせるため、
グループごと・1社ごとに
割り当て枠が決まっていて、
1社あたりの補助金枠は数件
しか
ありません。

過去に実績がある中島工務店の場合は
例年2~3枠です。

できるだけたくさんのお客様に補助金を
ご利用いただきたいところですが
タイミングが合うお客様の中から社内で
選ばせていただいているのが現状です。

選考方法はともかく、
どの住宅会社も
似たような状況だと思いますので
この補助金を狙うなら
ご自身が建てられる住宅会社に
どのくらいの枠を持っているか
確認してみてください。

ちなみに、
従来の場合、二次募集の方が狙いめです!

地域型住宅グリーン化事業は
グループごと・1社ごとに
割り当てが決まっている一次募集のあと
秋ごろに先着順の二次募集があります。

二次募集は先着順なので
きちんと準備して臨めば、
一次募集より採用される可能性が
高くなります!


2022年度も同じだとは言い切れませんが
参考にしてみてください。


 

ZEHにするならとりあえず申し込みたいのが
戸建住宅ZEH化等支援事業です。

大手ハウスメーカーでは
もはやZEHは標準仕様ですし、
その他の住宅会社や工務店でも
増えているので身近な補助金になりました。

ただZEHが普及するにつれて
補助金額が少なくなっています。

2022年度はZEH、ZEH+ともに
2021年度より5万円減額です。
ZEH基準クリアに加えて
蓄電システムを導入する場合は2万円/kWh
(上限20万円、補助対象経費の3分の1)
の加算があります。

ですが、蓄電システムの導入に
100~200万円くらいの費用がかかるので、
どうしても補助金より
支出の方が多くなってしまいます。

補助金がなくても設置予定ならいいですが
補助金のために設置するものでは
ありませんのでご注意ください。
 
なお、ZEHを対象とした補助金は
建築する住宅会社・工務店が
ZEHビルダーに登録していないと
応募できません。

ZEHを建てている会社なら
まず登録していると思いますが、
その住宅会社にとって初めてのZEH!
という場合には事前に確認しましょう。

狙いめ度 ★★★★☆

地域型住宅グリーン化事業に比べて
金額が低めなので★ー1としましたが
ZEHにするならとりあえず
応募しておきたい補助金です。

ZEHが標準の住宅会社なら
当たり前のように応募してくれるはず。

HEMSやEV充電ポストも
高額な設備ではありませんから、
ZEH+を狙うのもアリですね。

ただし、高額ではないとはいっても
設置費用がかかりますので、
補助金のために設備を増やすかどうかは
慎重に考えましょう。

もともとZEHでない場合は
ZEHにするための費用の方が
もらえる補助金より高くつきます。


特にZEH化に欠かせない太陽光発電は
安くなったとはいえ、
まだまだ高価な設備です。

ZEHにすれば
長期的な光熱費削減につながるので
補助金をもらって割安でZEHにする!
というのもよいと思いますが
イニシャルコスト・ランニングコストを含め
住宅会社に試算してもらい、
慎重に検討しましょう。

なおZEH化等支援事業は先着順です。
昨今は予算枠がいっぱいに
なったことはありませんが、
早めに応募すればさらに安心です。


 

ZEH+にさらにつくったエネルギーを
自家消費するシステムを追加する
のが要件です。

蓄電システム・燃料電池・
V2H充電設備・太陽熱利用温水システム・
太陽光発電10kWh以上のいずれか1つを
導入しなければいけません。
こちらはますます高額な設備が対象です。
 
確かに次世代の住宅設備だといえますが、
まだ導入費用が高いものや
耐用年数が10~15年程度のものが多いので
導入するかどうかは
イニシャルコスト・ランニングコストの
両面から慎重に検討しましょう。

狙いめ度 ★★☆☆☆

要件を満たすための支出に対して
補助金額が少ないので
補助金をとるのが目的なら
あまりおすすめできません。

あくまでもともとZEH+にしようと
思っていた方向けの補助金
です。

先着順なのできちんと準備して臨めば
とれる可能性も高いでしょう。

 

 

次世代HEMS実証事業も
対象になる住宅はZEH+です。

HEMSを備えるのはもちろん、
さらに蓄電システムまたはV2H充電設備の
いずれかの導入が必須です。
狙いめ度 ★☆☆☆☆

あまり狙いめではない理由は
導入する設備は高額なことに加えて
補助金が事前割当方式だから
です。

地域型住宅グリーン化事業と同じで
あらかじめ対象になる住宅会社と
その枠が決まっています。

狙いにくい補助金ですが
ここに挙がっているような設備を
搭載する予定があって、
さらに補助金枠を持っている
住宅会社で建てる予定なら
「応募したい」と相談してみましょう。


 

最後はLCCM住宅整備推進事業です。

補助金額140万円 / 戸で
地域型住宅グリーン化事業に次ぐ
補助金額が魅力です。

狙いめ度 ★★★☆☆

建物の性能としてはZEH+相当以上が必要で
やはり費用はかなり高くつきます。

設計時にきちんと計算して
CASBEEで評価できればOKなのですが、
LCCM住宅の設計をしたことがない住宅会社や
CASBEEを使い慣れない
住宅会社も多いのが現状です。

ただ、逆にいうと競合は少なめなので
地域型住宅グリーン化事業に比べると
採りやすい傾向です。

とはいえ、LCCM住宅にするための
費用はかなりのものなので
誰にでもおすすめできるわけではなく
LCCM住宅に相当する設備を搭載する
予定があるならぜひとりにいこう!

という補助金です。


 

省エネ・省CO2に寄与する住宅なら
様々な補助金の対象になることが
わかりました。

利用できるものなら利用したいですよね!
 
ですが、補助金を利用する際には
いくつか注意点があります。

1.補助金に建築スケジュールを
  合わせなければならない


どの補助金も申請したら
採択結果がわかるまで着工できない

といったルールがあります。
(詳細は補助金によって異なります)

補助金によりますが、
申請から採択まで2~3か月
かかるものもあります。

設計完了後、補助金の結果がわかるまで
工事が進められないことになりますので
「○月までに入居したい」といった
ご希望がある場合は補助金申請そのものが
難しくなります。


2.追加設備の費用が
  補助金より高い場合が多い


ここまでにも述べてきましたが
最初から長期優良住宅やZEHにする予定なら
補助金は文字通り、
「かかる費用を補助してくれる」ものですが
補助金のために設備などを追加すると
費用の方が補助金より高くつく

場合はほとんどです。

建築予定の住宅会社の標準仕様が
長期優良住宅やZEHの場合は
ぜひ補助金を検討するとよいですが、
補助金のためにわざわざ設備を追加するのは
おすすめできません。
 
ZEHやLCCM住宅は
ご自身の家や暮らしに対する考え方に
合致しているなら採用しましょう。

そのうえで補助金が気になるなら、
住宅会社にイニシャルコスト・
ランニングコストを含めて
補助金を採った方がよいかどうか
試算してもらいましょう。


3.手数料がかかる

補助金を申請するためには
様々な書類をつくる必要があり、
住宅会社・工務店は
そのための手数料をいただきます。

補助金によって書類の量や
難易度が異なりますが
中島工務店の場合はざっくり言って
補助金額の1割程度を頂いています。

手数料を忘れて補助金が
まるまる入ってくると思っていると
びっくりする場合もあるので
あらかじめ住宅会社に
手数料を確認しておきましょう。

手数料を明記していない住宅会社の場合は
建築費あるいは設計料に
あらかじめ手数料が組み込まれていると
考えてください。


4.そもそも絶対とれるわけではない

補助金は絶対とれるわけではありません。

先着順の補助金なら申請時期が早ければ
とれる可能性が非常に高いでしょう。

ですが、特に金額が高くて人気の
地域型住宅グリーン化事業などは
結果が出るまで2~3か月
待たなければいけない上に
絶対とれるとはいえません。

とれなかった場合は補助金の部分も含めて
お客様の負担になるので
あらかじめとれなかった場合も想定して
補助金対象の仕様にするかどうかを
判断
しましょう。

先着順の場合は
各種補助金の申請受付が始まる
春の時点で契約が完了
していれば
とれる可能性が高くなります。

補助金をとりたいなら
スケジュールに留意して準備しましょう。


 

今回紹介した補助金は
すべて国の事業です。

このほかにも各都道府県や市区町で
様々な補助金があります。

例えば、中島工務店でよく使われる
ぎふの木で家づくり支援事業なら、
新築住宅では20~32万円が補助されます。

併用できる補助金と
できない補助金などもありますので、
住宅会社に「使える補助金ありますか?」
とまずは聞いてみましょう。

各社の仕様で応募できる補助金を
紹介してくれるはずです。
 
中島工務店も地域型住宅グリーン化事業に
対応しています。

今年度は難しくても来年度に向けて
準備を始めることもできますので、
ぜひ早めにご相談ください。