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家づくり

新築にロフトがほしいなら

住宅建築のプロが納得できる
家づくりのヒントをお話するブログ。

今回のテーマは「ロフト」です。
趣味の部屋に、書斎に、収納に、
寝室に、籠り部屋に・・・。
ロフトってなんだかわくわくしますよね。

当社のお客様でも
「ロフトがほしい」と言われる方は
たくさんいらっしゃいます。

「ロフト」と検索すると
メリット・デメリット・失敗談など
実際にロフトをつくった人たちの
様々な体験談が見つかりますが
これもロフトへの関心が高い証拠ですよね。

でもロフトを検討するなら
住み心地や使い勝手の前に
知っておいてほしいことがあります。

今日はロフトにまつわる
規制と費用を抑えて実現する
ポイントをお話します。




この記事でわかること
□ 建築基準法におけるロフトの規定
□ ロフトが経済的にお得な理由
□ 費用を抑えてロフトをつくる方法



 
目次


1.建築基準法における「ロフト」
2.ロフトの経済的メリット
3.費用を抑えてロフトをつくる


 


ロフトって小さなスペースだから
お住まいのおまけみたいな
気分になりがちですが
実はちゃんと建築基準法で
定義されています。

ロフトは建築基準法では
「小屋裏物置等」
といいます。

小屋裏というのは
屋根と天井のあいだの空間のことで
そこを収納などに使う場合の規定
ということですね。

小屋裏物置等に関する規定は
いくつかありますが
専門的になってしまうので
特に知っておいてほしい点だけ
簡単な表現でまとめてみましょう。


■ロフトの床面積が
 ロフトがある階の床面積の
 2分の1未満であること。
■ロフトの天井高(内側の高さ)の
 最も高い部分が1.4m以下であること。
■ロフトの床面積がロフトがある階の
 床面積の8分の1を超える場合、
 各階の壁量を増やさなくてはならない。


もしも床面積60㎡の2階部分に
ロフトをつくるとしたら30㎡より小さくて
天井高は1.4m以下でなくてはいけません。

さらに、ロフト部分が7.5㎡を超える場合
構造強度を保つため、
1階と2階それぞれの壁量を
増やさなくてはならないということです。

実際にはもう少し細かな規定がありますが
一般的な「リビングにロフト」や
「子ども部屋や寝室にロフト」という場合なら
だいたいこの3つを知っておけば
計画を進めていけるでしょう。

詳しくは岐阜県建築基準法運用指針雑則
108ページなどをご覧ください。

なお、自治体によって運用指針が若干異なり
「階段が固定されていてはいけない」などの
規制がある自治体もあります。

愛知県・岐阜県では今のところ
そのような規制はありませんが
建築地の自治体または
確認検査機関に尋ねると確実です。

 


天井高1.4mだと
大人はまっすぐ立てませんので
用途も限られてきます。

それでもフツーの天井高にせず
ロフトを選ぶ人が多い理由のひとつが
経済的メリットです。

3階建てにする場合と比べて
検討してみましょう。

まずは固定資産税。
ロフトは法廷床面積
(建築基準法に則って算出する床面積)に
含まれないので、
固定資産税の課税対象面積にも
含まれないというメリットがあります。

固定資産税の評価額は
面積だけで決まるわけではないので
使われている資材や内容にもよりますが
3階建てに比べると
生活に使えるスペースが増える割に
固定資産税が抑えられる
といえます。

ちょっとお得ですよね。

 

「やっぱり大人が
まっすぐ立てる方がいいなあ」と
通常の居室にすると
ロフトにした場合と比べて
構造計算や確認申請の費用に違いがでます。

通常の居室にすると
2階建ての家は3階建てになりますが
建築基準法では
木造住宅は3階建てになったとたん、
いろいろ規制が増えるんです!

たとえば、3階建てになると
構造計算が必要になります。

消防の規制も増えて
非常用進入口をつけなきゃいけなくなったり
排煙計算が必要になったりします。

建築確認申請でもこれらの点を
チェックしないといけなくなるので
時間と費用が余分にかかってしまいます。

3階建ては2階建てに比べて
規制をクリアしていることを
確認してもらうために
お金と時間がかかる
んです。

※2階建て以下の場合も
(ロフトをつくる場合も含めて)
構造的に安全な強度を満たしているかの
検討は必ず行います。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。


もちろん安心・安全に暮らすために
必要な規制ですから
3階建てを建てるなら
きちんと対応しなくてはいけません。

でも2階建て+ α くらいの
スペースがほしいだけなら
3階建てよりロフトを選ぶのが
経済的にはお得だと言えそうです。



ちょっとお得で夢もふくらむ
ロフトをつくりたい!となったとき、
やっぱり気になるのが建築費用のこと。


ロフトの建築費用について
ネット検索してみると
「3.75坪で115万円」「4.2坪で100万円」
なんて記事が見つかります。

これを高いと思うか安いと思うかは
人それぞれですが
抑えられる費用は抑えたいのが当たり前。

というわけで費用を抑えて
ロフトをつくるポイントを
お話ししましょう。

一言でいうと
ロフトをつくりやすい構造で
建てている住宅会社を選ぶ
ことです。

具体的には太い柱を広い間隔で使う
造りを標準
にしている住宅会社だと
ロフトをつくりやすいでしょう。

どういうことかというと
たとえばこの写真

長久手Studioの事務所部分です。

(竣工した時の写真なので殺風景ですが
広さや構造はわかりやすいでしょ?)

約58㎡の空間の屋根を
ごく限られた数の構造材で支えているのが
おわかりいただけるでしょうか。

上部空間がすっきりしていますね。

写真奥の方に太い梁が2本ありますが
この梁の上に床を張れば
簡単に2階ができます。
(実際に後から2階やロフトをつくる場合、
構造的な検討をして必要な補強を
施さなくてはいけませんが)

もしここに屋根を支えるための柱が
たくさんあったら、
床を張ってもジャマな柱だらけで
使えるスペースにはなりませんよね。

ロフトをつくりやすいかどうかが
決まるのは、そこなんです!
 
家を建てるときには
一定の構造強度を保たなければいけないので
柱など構造材の太さと配置が重要です。

太い構造材を広い間隔・少ない数で
配置する住宅会社もあれば、
細い構造材を狭い間隔で
たくさん配置する住宅会社もあります。

必要な構造強度があれば
どちらでもかまいません。

ただ、太い構造材を広い間隔で
使用している会社なら、
もともとそこに広い空間があるので
比較的簡単に小屋裏を
ロフトにすることができるというわけです。

簡単にできるということは
費用が抑えられるということですね!

もちろん、細い構造材を狭い間隔で
配置する住宅会社でも
ロフトをつくることは可能です。

ただ、ふだんと違う太い材を仕入れて
ふだんと違うやり方で
わざわざつくることになるので
どうしても割高になってしまいます。

先ほどご紹介した
「3.75坪で115万円」といった数字を
当社の設計士に伝えると
「ええ~っ!?そんなに高いの?」と
びっくりしていましたが、
住宅会社によって高くなってしまう理由が
ここにあります。

ちなみに、中島工務店では
「2間グリッド」といって
主要な柱を2間(約3.64メートル)間隔で
配置するのを標準として設計しているので
小屋裏がすっきりしていて
ロフトをつくりやすくなっています。

勾配天井を得意としているのもポイント。

勾配天井ならそもそも小屋裏がなく、
居室の天井として
広々とした造りになっている上、
小屋裏と違って壁も
元々仕上げることになっているので
さらに簡単にロフトを
追加することができます。

実際、ロフトを予定していなかったお客様が
工事中に小屋裏を覗いて
「こんなにスペースがあるなら
ロフトをつくりたい!」と
急遽ロフトをつくられたケースもあります。
 
こんなふうに、
ロフトの建築費用も会社によって違います。

もし「新しい家にロフトがほしい」と
思っているなら、
どんな造りを標準としているかにも
注目して住宅会社を探してみてください。

一見すると高いと感じる会社でも、
最終的に総費用を抑えて
希望を叶えることができるかもしれません。