設計
畳コーナー・和室をつくるときの
設計上の注意点
住宅建築のプロが納得できる
家づくりのヒントをお話しするブログ。
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今回のテーマは「畳コーナー・和室」、
そして木の家の暮らしシリーズ
早春『お雛様』です。
そして木の家の暮らしシリーズ
早春『お雛様』です。
「和」のイメージを大事にしている
中島工務店でも、
最近は本格的な和室をつくりたいという
お客様はほとんどいません。
中島工務店でも、
最近は本格的な和室をつくりたいという
お客様はほとんどいません。
一方で「和室はいらない」という
お客様もほとんどおらず、
「家全体の雰囲気に合わせたモダンな和室」
「普段づかいできる和室」あるいは
「リビングの一角に畳コーナー」という
希望が多くなっています。
実際にどんな割合なのかを
過去2年分の新築実績から見てみると・・・
リビングの一部などに
畳を敷いた間仕切りなしの
「畳コーナー」が約4割、
リビングに隣接していて間仕切りがある
「リビング隣接和室」が4割弱、
リビングなどとは別にある「独立和室」が
1割強となっています。
畳を敷いた間仕切りなしの
「畳コーナー」が約4割、
リビングに隣接していて間仕切りがある
「リビング隣接和室」が4割弱、
リビングなどとは別にある「独立和室」が
1割強となっています。
畳コーナーとリビング隣接和室が
合計で8割ですから、
間仕切りのあるなしはともかく、
改まった場所としてではなく
日常生活で使える畳の部屋がほしい
という人が多いといえそうです。
ところで、畳コーナーと
リビング隣接和室は似ているようで
ずいぶん違います。
広さはもちろん、
必要なときに戸を閉めて仕切れるかどうか、
床の間や仏間、押入れなどがあるか・・・
これだけ違えば
使い方がまったく違ってきますよね。
それに畳コーナーであれ和室であれ、
家づくりではほかの部屋との
関係性しだいで使い勝手が変わってきます。
今日は新築で畳の部屋を考えるときに
知っておきたい設計のポイントを
お話しします。
さらに大好評!木の家の暮らしシリーズ
早春編・イマドキ木の家のお雛様の飾り方も
ご紹介します。
あわせて中島工務店のふるさと加子母の
郷土雛「土雛」もご覧ください。
郷土雛「土雛」もご覧ください。
目次
畳といっても最近は
和紙やポリプロピレンといった
新素材でできたものや
「置き畳」といわれる
フローリングに置いて使う畳など
いろんな種類があるほか、
畳床と呼ばれる芯の部分も
昔ながらのワラ床から
当社でも採用している
スタイロフォームなど
建材床も多くなっています。
が、材料や種類、お手入れ方法などを
まとめたサイトはいろいろあるので、
ここでは家づくりにまつわる観点から
知っておきたい畳の基礎知識を
まとめてみましょう。
①畳のランクと価格(い草の畳の場合)
畳は「特上」「上級」「中級」
といった具合に
ランク分けがされています。
といった具合に
ランク分けがされています。
違いは産地・い草の質・い草の量・
経糸(たていと)の量などですが、
一般の人の目で見れば、
見た目に色ムラが少なく
目が詰まっているほど
よい畳だと言ってよいでしょう。
当社では、最も安いもので
畳1枚(1帖)あたり8,000円くらい、
最も高いもので13,000円くらいです。
②畳はすべて特注品
畳って既製品を部屋の広さに合わせて
並べているわけじゃないってご存知ですか?
並べているわけじゃないってご存知ですか?
1軒1軒採寸してつくる、
いわば特注品なんです。
いわば特注品なんです。
家が完全な長方形になっていることは
まずあり得ません。
どんなに緻密に施工したとしても、
人の手でつくるものですから
ほんのわずかとはいえ
必ず誤差ができてしまいます。
その数ミリの差が畳を敷いたときに
わずかな隙間になったり、
部屋に収まらないといったことに
なってしまうんです。
わずかな隙間になったり、
部屋に収まらないといったことに
なってしまうんです。
そこで新築の建物でも
必ず畳屋さんが現場を採寸して
ピッタリはまるように
1枚1枚つくっていきます。
必ず畳屋さんが現場を採寸して
ピッタリはまるように
1枚1枚つくっていきます。
なので、畳は1枚ずつ
敷く位置も向きも決まっています。
長久手Studioの畳の裏側
敷く位置が「南東」と書いてあります
敷く位置が「南東」と書いてあります
和室に敷く一般的な畳の場合は
決まった厚み(54~57mm)でつくりますが
小上がりの畳コーナーの場合は
決まった厚み(54~57mm)でつくりますが
小上がりの畳コーナーの場合は
設計時に厚みを決めます。
框(畳コーナーのまわりの枠)の大きさや
畳の下に収納を設ける場合は
収納サイズとの兼ね合いで検討します。
15mm以上あればつくることができますが、
薄くなればなるほど畳の感触は
失われてしまう点に注意が必要です。
おもなものを挙げてみると
生活の欧米化が進んでいるとはいえ、
畳がほしくなる生活スタイルが
根強いことがわかります。
畳スペースには
独立和室・リビング隣接和室・畳コーナー
(フローリングと同じ高さ or 小上がり)
といった種類がありますが、
どのタイプにするかは
生活スタイルをよく考えて
選ぶことが大切です。
改まった来客が多い家庭で
客間として使いたいなら
独立和室でなくてはいけませんし、
座卓で食事をするのなら
リビング隣接か畳コーナー、
仏壇を置きたいなら独立和室か
リビング隣接でなくてはいけません。
寝転がりたい、
コタツを置きたい、
アイロンがけや洗濯物をたたむ
家事スペースにしたい、
小さな子どものお昼寝スペースにしたい、
座卓で食事をする、
仏壇を置きたい、
客間にしたい、
お茶・お花・着付けなど
趣味のために必要・・・などなど。
コタツを置きたい、
アイロンがけや洗濯物をたたむ
家事スペースにしたい、
小さな子どものお昼寝スペースにしたい、
座卓で食事をする、
仏壇を置きたい、
客間にしたい、
お茶・お花・着付けなど
趣味のために必要・・・などなど。
生活の欧米化が進んでいるとはいえ、
畳がほしくなる生活スタイルが
根強いことがわかります。
畳スペースには
独立和室・リビング隣接和室・畳コーナー
(フローリングと同じ高さ or 小上がり)
といった種類がありますが、
どのタイプにするかは
生活スタイルをよく考えて
選ぶことが大切です。
改まった来客が多い家庭で
客間として使いたいなら
独立和室でなくてはいけませんし、
座卓で食事をするのなら
リビング隣接か畳コーナー、
仏壇を置きたいなら独立和室か
リビング隣接でなくてはいけません。
リビングに隣接した和室
小上がりの畳コーナー
「うちは建物が小さいから畳コーナーで」
と言われることもあります。
と言われることもあります。
確かに限られた面積の中で
畳スペースをどう設けるかは重要ですが、
大きさよりも生活スタイルを
重視してほしいと思います。
でないと、実際の生活で困りますから!
冒頭のグラフを延床面積別に
どんな畳スペースをつくったかに
分けてみると、
建物が大きくても小さくても
畳コーナーとリビング隣接和室の割合は
ほぼ半々(さすがに35坪未満で
独立和室はありませんけど)。
畳コーナーとリビング隣接和室の割合は
ほぼ半々(さすがに35坪未満で
独立和室はありませんけど)。
自分たちの暮らしに合った
空間づくりをしていることがわかります。
一方、よく考えなくてはいけないのが
リビング隣接和室や畳コーナーの場合。
そこで何をするのか、
そのときリビングやダイニングには
誰がいて何をしているのか
畳コーナーや和室の使い方と
ほかの家族の動線を
具体的に考えてほしいと思います。
例えば、
お父さんは畳でゴロンとなって
テレビを見たいけれど
娘さんはソファに座っていることが多い
という場合なら、
畳コーナーがソファーの後ろに
来ることがないように、
且つ畳コーナーからもソファーからも
テレビが見られるように
位置関係を考えなくてはいけません。
テレビを見たいけれど
娘さんはソファに座っていることが多い
という場合なら、
畳コーナーがソファーの後ろに
来ることがないように、
且つ畳コーナーからもソファーからも
テレビが見られるように
位置関係を考えなくてはいけません。
お父さんと娘さんがおしゃべりしやすいよう
和室を小上がりにして
視線の高さを合わせるのも大切なこと。
子どもが遊んだり
お昼寝したりする場所として使いたいなら、
お父さん・お母さんが普段いる場所から
見やすいところがいいですね。
アイロンがけや洗濯物をたたむ
家事スペースにするなら
水廻りやクローゼットとの
位置関係が重要ですし、
アイロンがけをしながら
テレビを見たいなら
やはりソファーの後ろにならないように
気をつけたいところです。
可児モデルハウスLITTLE KASHIMOの和室
住宅会社の図面では当たり前のように
ソファーを置くことになっていたりしますが
(将来の可能性を含めて
そのスペースを考慮しなきゃですから)、
住み始めるとソファーなんて置いてない
というケースも結構あります。
ソファーを置くことになっていたりしますが
(将来の可能性を含めて
そのスペースを考慮しなきゃですから)、
住み始めるとソファーなんて置いてない
というケースも結構あります。
雑誌で見た憧れの暮らしや
図面のイメージに引きずられすぎることなく
自分たちのリアルな生活を考えながら
畳コーナーや和室の位置を検討しましょう。
畳の上にはほぼ家具が置けないということ。
いえ、置こうと思えば
もちろん置けるんですが、
どうしても跡がついてしまうので
重たい収納などを置くのは
ためらってしまいますよね。
お客様の住まいを訪ねても、
だいたい置いているのは座卓だけです。
それが家全体の計画に
どう影響するかというと。
どう影響するかというと。
和室であれ畳コーナーであれ、
その部分には家具を置かない前提で
ほかの場所に手持ちの家具を
置くように考えたり、
必要な収納をとるように
計画しなければいけません。
収納や家具の量・位置は
住み始めてからの使い勝手に直結するので
プラン段階でよく考えておきたい
ポイントです。
今の時期ならひなまつり。
お雛様はリビングに飾ってもいいけれど
畳に飾るとまたちょっと違った
風情が感じられます。
ということで、
長久手Studioの畳コーナーに
お雛様を飾ってみました!
2帖の無縁畳の小上がり。
イマドキの木の家のリアルな飾り方の
例になったんじゃないでしょうか。
棚の上に飾っているのが
飛騨の郷土雛「土雛(つちびな)」です。
中島工務店の本社がある
加子母周辺で見られるお雛様で、
素焼きに絵付けされています。
見るとわかる通り、
七福神みたいな人形がいますよね。
七福神みたいな人形がいますよね。
こういった一般的な雛飾りでは
見かけない人形も
一緒ににぎやかに飾ります。
土雛は行商人が売りにくるのを
年々買い足していくという、
購入方法もめずらしいスタイル。
素朴で楽しげな印象が木の家に似合います。
加子母のひなまつりは4月なので、
このお雛様たちも3月3日が過ぎたら
持ち主のお宅に帰って
ふるさとのひなまつりを
祝うことになっています。
お雛様や五月人形を飾る場所って
家づくりの計画の中では
優先度は高くないかもしれませんが、
暮らし始めてからないと困るもの。
「ここにこんなふうに飾ると素敵だな」
と考えてみると
畳スペースの検討に役立つこともあります。