プロが教える家づくりのヒント HINT

設計

キッチンのショールーム見学


 
住宅建築のプロが納得できる
家づくりのヒントをお話しするブログ。
 
今回のテーマは
「キッチンのショールーム見学」です。
 
注文住宅を建てるには
決めなくてはいけないことが
たくさんありますが、
その中でも住んでからの使い勝手や
家全体の雰囲気に大きく関わるのが
キッチンなど大型の住宅設備です。

毎日使う場所ですから
自分なりに「こんなキッチンがいい」
という希望を持っているお客様も多く、
キッチン選びは家づくり全体の中でも
盛り上がる場面のひとつになっています。

とはいえ、ショールーム見学って
1回2~3時間はかかってしまいますし、
意外とたいへんな作業でもあるんです。
 
今回はキッチンのショールームを
効率よく活用して
納得してキッチンを選ぶために、

①キッチンを決める流れと
ショールーム見学のタイミング
②ショールーム見学前の予習ポイント
③ショールーム見学のコツ



 


最初に、そもそもキッチンは
どんな流れで決めていくのか、
どのタイミングで
ショールームに行くのかを
確認しておきましょう。
 
住宅会社によって多少違うと思いますが
中島工務店ではショールーム見学は
次の2回をおすすめしています。

■キッチンのショールーム見学のタイミング
<1回目>
設計初期→具体的な商品を選びます。
<2回目>
施工中→選んだ商品の最終確認です。

注文住宅の場合、
間取りを決める段階である程度
キッチンも決めなくてはいけません。

キッチンは大抵幅2m以上ある
大きな設備なので、
形や大きさ、家の中での
位置が決まらないと
家全体の間取りが決まらないんです。

ですが、この段階で
ショールームに行く人は
あまり多くありません。

システムキッチンには規格があり
大きさや形のバリエーションが
ある程度限られていますから、
設計士にキッチンを
どんなふうに使いたいのか
(家族みんなで?
来客に見えないように?など)、
どのくらいの大きさ・形がいいのかなどを
伝えていただければ、
実現可能な商品があるかどうか
だいたいわかります。

そのイメージも湧いてこない場合や
この機会にいろいろ知りたいという場合は
この段階で一度ショールームに
行くのもいいでしょう。
 
間取りが決まり、詳細設計が始まったら
ショールーム見学本番です。
具体的に商品を選びに行きましょう。

このときの予習のしかたや
見学のコツはのちほどご紹介します。


住宅会社によっては
設計のときに見学したら終わりという
ケースもあると思いますが、
中島工務店では施工中に
もう一度見学することを
おすすめしています。

発注に間に合うタイミングで
色やオプションなどを
最終確認してください。

また、当社では設計期間3~4カ月、
施工期間約7カ月と長いため、
商品を選んでから発注するまでの間に
メーカーのモデルチェンジがある
場合があります。

この場合も、発注前に
旧モデルと新モデルのどちらにするかを
決めることになります。

モデルチェンジで
気に入っていた機能がなくなってしまう
なんてこともありますから、
何が違うのかよく確認して決めましょう。


 


ここからは、設計初期に
具体的な商品を決めるために
見学に行くときのポイントをご紹介します。

まずは見学準備について。

LIXIL、TOTO、Panasonic、
クリナップ、トクラス・・・
キッチンを扱っている住宅設備メーカーは
主要な会社だけで10社以上あり、
専門メーカーも含めると
かなりの数があります。

それらのショールームを
すべて見学するわけにはいきませんから、
まずはネットで
だいたいどのメーカーのどのシリーズが
自分の価値観に合うかを調べて
見学先を決めましょう。

各メーカーのホームページで
注意してみてほしいのは
こんなポイントです。

①扉の種類
 
キッチンのグレードは
扉の種類で決まります。
 
色や取手のデザインなどは
どれでも選べると思いがちですが、
扉によって選べるシリーズが
決まってしまうので
早めに見るのをおすすめします。


②シンクの大きさと形

排水口の位置や洗剤などを置く
ポケットの位置・形、お手入れの方法など
細かいところに違いがあります。

洗い桶を置くのか、
置くならどこがいいのか、
お料理から後片付けまでの使い勝手を
具体的に考えてみましょう。

 
③コンロの種類

例えば、
一般的な3口タイプのIHヒーターにも
「2口IH+ラジエントヒーター」
「3口すべてIH」
「3口IH+オールメタル
(金属鍋がすべて使える仕様)」など
いくつかのタイプがあります。

ガスの場合も
ガラストップやホーロートップなどがあり、
グリルも両面焼きなのか
水を使うのか使わないのかなど
細かな違いがあります。

ご自身の料理のスタイルに合うのは
どれなのか考えてみてください。


④レンジフードの種類

商品によって
レンジフードが変更できるものと
できないものがあります。

レンジフードは
メーカーや商品によって
吸気方法が違うほか、
最近ではお掃除のしやすさにも
各社が力を入れているので
違いが出ています。

お手入れが大変な箇所のひとつなので
レンジフードを気にする場合は
ここから先に見ていくといいでしょう。

 
⑤天板(ワークトップ)の素材

天板の素材としては
ステンレス、人造大理石、
人工大理石、タイル、メラミンなどが
あります。

それぞれ使い勝手や
お手入れ方法に違いがあるほか、
メーカーによって
取り扱っている素材も異なります。

このほかにも引き出しのサイズや形状、
包丁の収納方法など、
メーカー、シリーズによって
細かな違いはたくさんあります。
 
ですが、予習のときには
まずここに挙げた5つのポイントを確認し、
自分にとって優先順位が高いものを装備した
キッチンを扱っているメーカーを
見学先候補にするのがよいでしょう。

なお、住宅会社によっては
お値打ちになるメーカーもありますので
お薦めを聞いて
ひとまず見学してみてください。
 
好みや価値観に合えば
とてもよい選択肢になります。

 

 


実際にショールームを
見学するときのコツは
住宅会社経由で予約してもらうこと
です。
 
個人で予約することもできますし、
予約なしで行くこともできます。

ですが、住宅会社経由であれば
次のようなメリットがあるんです。

①設計や要望に添った
的確な提案をしてもらえる。

住宅会社経由で予約した場合、
住宅会社はあらかじめショールームに
最新の図面や要望、予算など
必要な情報を送ります。
 
どのメーカーも
とてもたくさんの商品を持っていますが、
これらの情報があることで
ショールームのスタッフは
ある程度希望に合う商品を
選んで待っていてくれるので
効率よく自分に合う提案を
聞くことができます。

お客様がご自身で図面を持参して
要望や予算を伝えることもできますが、
プロ同士なら設計上の制限など
専門的な情報も共有できます。

注文住宅の場合、
規格があるシステムキッチンとはいっても
周辺の設計と整合性をとる必要があるので、
設計的な観点から
確認しなくてはいけないこともあります。

そういう意味でも、
やはり最初から専門家の目で
見てもらった方がよいでしょう。

なお、打ち合わせ内容や
タイミングによっては
設計士がショールームに
同行する場合もあります。


②ショールームから
住宅会社にフィードバックがある。

見学後は、ショールームから住宅会社に
お客様との打ち合わせ内容の
フィードバックがあります。

お話した内容、選んだ商品、
オプション、見積もりなど
設計を進めていく上で
必要な情報が提供されるので、
次のステップにスムーズに
進んでいくことができます。

住宅会社を経由して予約すると、
このように設計士と
ショールームスタッフが専門家として
連携しながらサポートしてくれる
という
メリットがあります。

見学の際にはキッチンを
どのように使いたいと思っているのか
ショールームスタッフに
できるだけ具体的に伝えると
よりよい提案をもらえるほか、
自分の希望の中で叶えられない点も
説明してもらえます。

すると、何を優先するのか、
また別のメーカーを訪ねるのか等
考えるきっかけにもなります。

ショールームで感じたことを
率直に設計士に相談し、
納得できるまで検討してください。

なお、予約なしでショールームに行くと
そのときに対応可能なプランナーがいなくて
十分な説明を受けられないことがあります。
 
設計段階で具体的に検討している場合は
やはり予約は必須ですが、
逆にいうと、自分たちだけで
自由に見てまわりたい場合は
予約なしで行くというのもアリでしょう。

 

 


ここまでショールームで
システムキッチンを選ぶコツを
ご紹介してきましたが、
中島工務店では
オリジナルキッチンも製作しています。

建具や家具を造作するのと同じように
キッチンも造作するもので、
自分たち家族だけの使い勝手や
デザインをカタチにできます。
 
キッチンを大切に考えたいという人の中には
ショールームを巡った結果、
システムキッチンでは満足できない
というケースもあります。

そんなときにはオリジナルキッチンも
検討してみてください。

中島工務店オリジナルキッチン施工事例
オリジナルキッチンというと
高額というイメージがあるかもしれませんが
本当にゼロからつくっていくものですので
仕様によってまったく異なり、
システムキッチンより
費用を抑えられることもあります。

設計中であれば変更可能ですから、
お気軽にご相談ください。