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家づくり

IHクッキングヒーターvsガスコンロ


 
住宅建築のプロが納得できる
家づくりのヒントをお話しするブログ。
 
今回のテーマは
「IHクッキングヒーターvsガスコンロ」。
 
前回、光熱費と省エネの観点から
電気とガスを比較しました。
電気とガスどっちがお得?

機器の組み合わせにもよりますが、
東海地方の大部分を占める6地域では
基本的には電気が有利と言えそうです。
 
でも、電気かガスかを決めるポイントって
もうひとつありますよね。

そう!調理です。

暖房や給湯は
部屋が温まったりお湯が出たりすれば、
その熱源はコストが低くて
省エネな方がいいに決まっています。
 
でも調理は違います。

「食」に関わることですから、
味や見ためがとても重要。
やっぱりおいしい方がいいですもんね。

というわけで、今回は
長久手StudioのIHとガスコンロを使って
調理実験をしてみました。

お湯を沸かす、煮る、焼く、炒める
という4つの調理を
材料・味付け(調味料)の分量を
同じにして挑戦。

調理方法で差がつかないように、
調理作業は1人のスタッフがすべて担当。
味・見ため・調理時間を評価しました。

味も見ためも主観じゃないかって?
その通り。
というか、そこが狙いなんです!

ガス会社やメーカーのショールームに行けば
サーモグラフィなんかを使って
もっと本格的な実験をやらせてもらえます
(面白いので行ってみる価値あります!)。

でも、なかなかなスピードで
フライパン振らされたり
調味料ガシガシ入れたりして
「家ではこんなことできないよ?しないよ?」
状態になることもしばしば。

その手際の違いが
味の違いになってるんじゃないか
というくらい・・・。

なので、もっとリアルに
家でつくってる感じでやってみて、
味や見ためも家で食べる感覚で評価しよう!
というのが今回の実験です。

料理の楽しみ方なんて、
結局主観なんですから。

 


これは時間の勝負です。
 
こんな感じで同じ分量の水が
沸騰するまでの時間を計りました。

火力はどちらも
最初から最後まで最大にしました。


結果は
IH 1分27秒、ガス2分59秒

IHがガスの半分以下の時間で沸騰、
圧勝でした。

電気ケトルの人気からもわかるように
お湯を沸かすなら電気
間違いなさそうです。

 

 


煮る実験ではかぼちゃの煮物に挑戦。
まず、調理時間はというと、
IH 12分40秒、ガス12分45秒と誤差の範囲
 
お湯を沸かす対決でIHが圧勝したので
煮るのも早いかと思いきや、
差がつかないという結果になりました。

今回は「完成」も主観で判断しているので
やわらかさなどなんらかの方法で測定して
より正確さを求めれば
差が出るのかもしれません。

が、家庭料理というレベルでは
差はないといえそうです。

肝心の味と見ためは
スタッフ6人で試食して評価しました。


見ためが違うんですけど、
コレ写真の撮り方のせいじゃなく
ほんとに違ったんです。

火が通るまでの所要時間は
ほぼ同じだったんですが、
IHは煮汁がたっぷり残ったのに対し
ガスはほとんどなくなりました
(どちらも蓋なしで調理)。

ガスの方が煮詰められた
という感じですね。

味も予想以上に違ってビックリ。

ガスの方がかぼちゃがほくほくして
素材の甘味が感じられた
のに対し、
IHもおいしいんですがガスに比べると
素材の印象が薄いという評価で
全員が一致しました。

ほくほく感は見ためでもわかりますよね。

これは見ため・味ともに
ガスの勝利と言っていいでしょう。

実は、煮る実験だけ
ヘルシオでもやってみました。
かの有名なウォーターオーブン。

長久手Studioのセミナールームに
鎮座していて、
ふだんはほぼ電子レンジとしてのみ
使われています(笑)

結果は調理時間40分、
味はよく染みていておいしいんですが、
やわらかくなりすぎて箸で持つと
すぐに崩れ落ちてしまいました。

というか40分もかかる時点で
ヘルシオはなしでしょ、
って思ってしまいます。

煮物をヘルシオに任せておいて、
そのあいだにIHやガスコンロで
ほかのものをつくる!という人には
いいのかもしれません。

 

 


焼く実験はベーコンエッグ。
たまごは半熟くらいを目指しました。

調理時間はIH 2分45秒、ガス2分18秒

30秒弱ガスが早かったですが、
差があるというほどではありません。

仕上がりはこんな感じ。


同じ場所で撮影しているのに、
なぜかガスの方が黄色っぽい???

えーと・・・色はともかく、
ベーコンの焼き上がり具合が若干違うのが
おわかりいただけるでしょうか。

IHの方が全体にポコポコと
波打ったようになったのに対し、
ガスは脂が多い部分を中心に
収縮したような姿になりました。

見ためは食感にも反映されていて、
ガスの方がパリッ、カリっという感じ。

たまごにはそれほど違いは
ありませんでしたが、
ガスの方がやや端っこの方に
パリパリ感がありました。

ベーコンエッグの仕上がりは
好みが分かれるところだと思いますが、
パリッと感が好きならガス、
やわらかめがいいならIH

という結果になりました。

 

 


最後は炒める実験。
もやし炒めをつくってみました。

今回はもやしとニラ、ウィンナーを
サラダオイルで炒めて、
塩コショウでシンプルに味付けします。

メーカーさん等の(特にガス推しの)
調理実験ではチャーハンなど
炒める料理をやることが多いよう。

強い火力で手早く調理するのがコツなので
基本的にガス有利なんですよね。

というかフライパンを振れない
(=器具から離すと熱が伝わらない)IHは
そもそもつくり方が変わってしまう。
 
なので、今回もおそらく
これが一番差がつくんだろうなぁと
思いながらやってみました。

調理時間はIH 2分20秒、ガス1分44秒
30秒強の差となりました。

こちらも家庭料理としては
大きな差はないといえますが、
ただ体感として2分かからないガスは
早いな~という印象ではありました。

今回はガスの方もフライパン振ってません。

家庭料理らしく(?)
菜箸で混ぜながら炒めました。

出来映えはこちら。

もやし炒めだけカメラアプリ変えました
(ちょっとおいしそうに撮りたくて・・・
Foodieです)



見ために差は感じられませんね。
 
でも、食べてみると全然違っていて。
ガスの方がもやしがシャキシャキ、
ウィンナーもパリッとしていて香ばしい!

 
IHは特にウィンナーが
ボイルしたような食感でやわらかめで
香ばしさは感じられませんでした。

やはり炒め物はガス有利!
ということでしょうか。

 

 


結果を一覧にしてみました。

ガスの方がパリッと感や
シャキシャキ感があって
IHの方が全体にやわらかめに仕上がる
ということがわかりました。
 
ちなみに
味や食感の好みは
人それぞれだとは思いますが、
試食に参加した6人は
全員一致でガス!となりました。

写真じゃ伝わらないと思いますが、
実際食べると違いは歴然としていたんです。

正直「差がつかなかったらボツだなぁ」
と思いながら始めたんですが、
想像以上に面白かったです。

熱源・機器を選ぶときには
やはりショールームなどでの
調理実験に参加するのをおすすめ
します。

自分の主観で判断してみてください。

また、IHかガスかを選ぶ際には
安全性や掃除のしやすさ
といった検討ポイントもあります。

そういった点も実際に触ってみると
考えやすいでしょう。

 

 


最後に今回使用したキッチンを
ご紹介しておきます。

IHクッキングヒーターはこちら

長久手Studioの
セミナールームにあるキッチンで、
IHクッキングヒーターは日立のHT-F7TFS

消費電力は5.8kWです。

一方、ガスコンロは
長久手Studioのモデルハウス部分にあり、
ガスコンロはハーマンのC3WL5PWA

ガス消費量は4.20kW(13Aの場合)です。