木造の家を建てること 1(ジャパンホームショー)

林野庁を退職し、木造建築を業とする中島工務店に勤務して満15年が過ぎました。私が担当してきた業務の一つに、住宅を建てようとしているお客様を森林に案内して材料である木材についてお話しをすることでした。案内しながらいつも思うことは、これまでに住宅を建てられた皆さんのそれぞれの想いが本当に実現されているか。これから家を建てようとしている皆さんが、それを実現できる環境を提供しているかについてです。さて、今年も11月17日~19日の3日間、東京ビッグサイトで開催された「ジャパンホームショー2012」に社長とともに5名のスタッフと東京支店、社寺支店の協力を得て、木造住宅と40mmのスギ板材などを出展しました。 このイベントでは、魅力的な多数の企画や講演会・セミナーなど専門的な展示が行われ、木材関係では、北海道、秋田、栃木、三重、愛媛、そして私たち岐阜など各県から特色ある木材の利用、加工技術を活かしたさまざまな製品が紹介されました。また、工務店の支援センターが、先進的な取り組みをしている次世代工務店や、次世代大工の研修生による技術と技能の実技を紹介していました。今年はインテリア関連の専門展示が多くのブースを占め、さらに家庭用エネルギー創出機器として、停電時に起動可能の家庭用ガスエンジンユニットや防災向けの非常時電源発電機などの出展がありました。このイベントに参加して、建築のあり方や建材、そして住宅に付加する機能の変化を感じました。その一つは、最新の技術と商品を集め、海外からも顧客の来場を目指す大手建材メーカーと、木材による伝統的な工法の家を造る中小工務店の想いが、一堂に会して錯綜していることです。いわば業界関係者必見の競演会となっており、今、住宅を建てようとするお客様の「住宅」に対する考えや想いを実現するための研究・検討する場とはなっていないことです。これは家づくりのお世話をする側が考えなければならない課題なのでしょう。このイベントには一般のお客様、つまり住宅を建てたいという、あるいは今後住宅建築を計画しようとしている一般のお客様の来館はないのです。私たちがお世話をする木造の家を建てたいと考えている方々に対して、本当の意味でそのシステムや技術の進歩、発展方向がお客様のニーズに応えているのか、イベントのあり方の再考を求められているように思えました。