癌を寄せ付けない木(アオモリトドマツ)
(植物からとれるトリテルペノイド類の発がんプロモーション抑制と癌細胞増殖抑制作用について)

1992年の夏、松永大阪薬科大学教授とともにアオモリトドマツ(オオシラビソ)の樹皮と葉を採集に御嶽山の1,700mあたりの森林に入りました。先生のご研究は、マツ科(モミ属)オオシラビソ、シラビソ、モミの樹皮に含まれるトリテルペノイド化合物の発がん抑制効果です。癌は日本人の死亡原因第1位で、これまで様々な取り組みにより一定の成果を収めてきましたが依然として私たちの生命や健康にとって大きな問題です。発がんは、イニシエーションとプロモーションという2段階の独立した過程があり、イニシエーター(起爆剤)によって細胞の遺伝子レベルに変化が起き、そのままでは癌化には至らないのですが、変化を受けた細胞が癌化する発がんプロモーターといわれる多数の化合物が作用することが知られています。発癌しないように、そして癌になってもこれを抑えるには、このイニシエーションとプロモーションのいずれかの段階で抑制することが重要です。この効果を持つフラボノイド、カロチノイド、トリテルペノイドなどが緑黄色野菜や果物にあり、好んで食べられるようになりました。一方、自然物に対する信頼性が薄い日本ではあまり知られていませんが、松永先生の研究によって、亜高山帯の森林に自生するアオモリトドマツなどの針葉樹の樹皮に、発がんを抑制する化合物があることが発見されアメリカの学会で発表されています。実はこのアオモリトドマツ等の樹皮は、香水好きなベルサイユのマリー・アントワネットやナポレオンの奥さんジョセフィーヌそしてマリリンモンローに教えてあげたいとても素敵な匂いがあって、嗅ぐだけで癌には罹らない気分になります。
(中島工務店 総合研究所長 中川 護 )