杣とは、山林所有者の依頼で木を伐採する職人。所有者と相談しながら、山林の手入れも行います。苗木を植え、日光が当たるように下草を刈るのをはじめ、周囲の木と枝が絡まないための間伐や節を防ぐ枝打ちなど、その仕事は多岐にわたります。全国でも珍しいヒノキの天然林が残る加子母の山々は、私たちの宝。しっかりと守り、次世代に残していくのが仕事だと思っています。

山が大好きだから、選んだ杣業。

幼い頃から父親が働く製材所や自分の家の山林で遊び、山が大好きでした。そのため、迷わず地元の森林組合に就職し、山を守るグリーンキーパーとして勤務。30歳で独立して今に至ります。
加子母には、伊勢神宮の式年遷宮に材を提供する御用材が守り育てられている「木曽ヒノキ美林」をはじめ、良材が息づく山々が多くあります。しかし、山を守り育てるための豊富な技術や経験を有するこの地域であっても、後継者不足などにより、手入れの行き届かない山も目立つようになってきました。「自分の山は自分で手入れしたいけれど、やはり難しい木もあって、プロに頼まなければいけない。ちょっとしたことも頼めるので助かる」と、言っていただくこともあります。最も大切なのは、自分の代、そして次の世代において、今以上に立派な山を残していくこと。その思いで、日々の仕事に励んでいます。




山を守り継ぐ技術を常に研鑽。

「東濃ひのき」は、色つやがよく粘りがあり、建築用材としては最高の木材です。その商品価値をさらに高めるため、すべての面に節のない「四方無地」のような良材をつくることができるよう、枝打ち技術などの勉強会を行うなど、技術向上を目指しています。こうした取り組みは、私たち若い世代が率先してやらなければならないこと。山を残していくのはもちろん、自分たちが大先輩たちから教わってきたことを次の世代に伝えていくことも、必要だと思っています。




多くの人に加子母の山を見てもらいたい。

加子母の森林整備を推し進めるためには、加子母にたくさんの人を呼び寄せることも、大切なことだと考えています。そのため、都市部の学生の体験学習として、年一回木造建築を学ぶ学生約150名を受け入れる「木匠塾」など、他県の方々を加子母に招くさまざまな活動に取り組んできました。中島工務店で住まいを建てようと考える方が参加される「水と緑の勉強会」でも、「木曽ヒノキ美林」などの山々を訪れていただき、実際に森での伐採を見学していただいています。こうした機会を通じて、多くの方に加子母の自然を実際に見ていただき、山を守る意義を感じてもらえたらと思います。