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構造材加工中。

投稿日/ 2010年10月27日

2010年10月27日(水)

愛宕Ark」の工事現場では、現在給排水工事の外部配管中です。同時に(協)東濃ひのきの家では、構造材を加工中です。工場内ではどこを見ても「愛宕Ark」一色です。

まずは大黒柱の加工。標準的な部分は機械加工、それ以外は手加工のハイブリッドです。

こちらは屋根の野地板の加工。「モルダー」と呼ばれる加工機に原板を入れると、凹凸の形状の付いた厚み30mmの野地板が削られます。これは屋根の下地材でありながら天井板でもあります。天井を見上げると、圧倒的な木の質感が楽しめそうですね。

こちらが大垂木。四寸角、つまり120mm×120mmの垂木です。こちらも屋根の一部です。通常60mm角ぐらいの垂木を細かく入れる場合が多いんですが、今回はTERRALITTLE KASHIMOと同様、120mm角の垂木を910mm毎に配します。その継手は「鎌継ぎ」なる技法を採用しています。厚い野地板と大きな垂木、そして伝統的な継手。贅沢な屋根が出来上がります。

さて、こちらは「差し鴨居」です。「厚鴨居」とも呼ばれます。幅が150mm、成(せい、高さのこと)が240mmの桧です。リビング~和室の境の鴨居です。この4本の溝は鴨居溝です。

差し鴨居の中で一番目に付くのが側面です。写真はまさに桧の”トロ”の部分です。頬ずりしたくなるのは私だけでしょうか。以前、旭製材さんにお邪魔した際に、今井社長が厳しい表情で見定めていたのが、この差し鴨居です。今井社長、どうやな!

こちらは横物の杉を加工中。一般的な部分は大型の機械で半自動で加工しますが、それ以外の部分はやはり手加工です。この梁は仕上げとして見えてくる、いわゆる「化粧」部分でして、機械加工ではできない部分です。昔懐かしい「角鑿(のみ)」を使って箱掘り中。

「角鑿」、つまり鑿の先が角型になっています。

梁は「化粧」ですので、これまた手鉋(かんな)で仕上げて墨を消します。それにしても天然乾燥の横物、色艶も良いですね、今井社長!

こちらでは、柱の場所や向きを見極める作業中。

こちらが、(協)東濃ひのきの家の柱担当、熊﨑さん(下呂市野尻在住)。通称「クマチャン」、そのまんまです。

このように、木を一本一本見定め、「化粧」として使える部分を記し、優先的に見せたい場所へ見栄えの良いものを配置するんです。見る目と根気勝負の作業です。

ここでちょっとトリビア。一般的に「気配り」なんて言葉がありますが、もともとは、このようにどの木をどこの場所に使うかを考えることを「木配り」と言い、それが転じたと言われています。

しかし現代の木造建築の大部分は、悲しいかなこの「木配り」の必要ない家です。「木配り」は手間も掛かりますし、熟練の見る目も必要です。「坪当たりいくら」で計られては不利になる要素ばかりです。そんな安物勝負が日本の木造建築の技術を衰退させていると言っても過言ではありません。

確かに木でできていれば木造ですが、木の構造が見えて、木の仕上げあって初めて木造が楽しめるんです。それが日々の安心感であり、生活の潤いですよね。

19名のメンバーを擁する(協)東濃ひのきの家。工事現場以外でも、これだけの技術者の手で手塩に掛けて育てられ、そして現場に送り出される。「愛宕Ark」は、そんな職人の魂の宿る作品です。

中島 大地