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第12回 お引渡し

投稿日/ 2018年4月30日

すっかり暖かくなり、新緑の兆しとなりました。

去る4月27日、ゴールデンウィークを目前についに、お引渡しです。

工事の引き渡し書類や設計監理の報告書など書類も多く、また、キッチンやバス、トイレなどの最新設備は使い方も複雑でメーカーの営業に来ていただきました。照明などの電気設備もあるので、取扱説明書と保証書も山のようです。

LIXILの玄関戸を入れた場合の儀式として、正式にご使用になる鍵を開封していただき、鍵穴に入れて施錠、開錠することで工事中に使用していた鍵が使えなくなるというご確認をしていただきます。これにより、私どもは出入りすることができなくなるため、お施主様へ引き渡したという実感が湧く瞬間です。それまで我が物顔で、ことあるごとに出入りしては、眺め、調べ、相談し、時にはあわてて直してもらったり。でも、これからはお施主様のお宅として、今までとは違った距離感で見守っていくことになります。

工事中は責任感と心配と楽しみが交錯する現場で一喜一憂しながら見守ってまいりました。「良い家にしたい」それは設計も施工も施主も同じ思いで、それでも少しづづベクトルが違っていたりして、その部分をすり合わせながら、迷い、悩み、それでも決断しながら現場は進みます。そしておそらくその思いの密度が出来上がった「家」に独特の息吹を吹き込みます。凛としてそこにあり、他とは異なる主張を感じさせ、それは設計者にも想像できなかった雰囲気を漂わせます。お施主様の生活が始まり、そこにお施主様の日常が常態化することで「家」はさらに、お施主様、その人らしい何かを身にまといます。不思議と「家」はお施主様らしくなります。そうなると「すまい」と呼ぶにふさわしいように思います。

設計者の中には、「家」を作品と呼ぶ人がいます。私は図面は楽譜のようだと思います。演奏する人によりまったく違った物になります。そして、その曲は通例では演奏者の作品です。「すまい」は施工だけでなく、生活者もまた演奏者です。本来、「すまい」は時間、労力、愛情、それらを最も多くを注ぎ込む生活者の作品だと思います。「家」は作品と呼ぶに能わず、「すまい」になって初めて作品と呼ぶにふさわしくなると思います。家は出来上がった時が最も良いのではなく、手を掛けて住まうことでより良くなっていくものであるはずだからです。だからこそ、国産材にこだわってよいものを・・・・

閑話休題・・・・

 

お引渡し後にお施主様より、「本当にありがとう」とのお言葉と、笑顔を賜りました。そう言っていただけるこの仕事に誇りを感じつつ、本当に良いお施主様に巡り合い、家をつくらせていただいたことに「本当にありがとうございました。」と、こちらからお礼を申し上げたかったところです。

早速、新居で(おそれ多いことに!)お昼に奥様の手料理をふるまっていただきました。最後までごちそうになり通しで、本当にありがとうございました。大変おいしかったです。

午後からはお施主様と一緒に、桧のフローリングに保護材(リボス・カルデット)を塗布しました。ご自分でメンテナンスをしていただくことも視野に、弊社では最後の仕上げとして恒例行事にしています。助っ人のお二人にも駆けつけていただき、楽しみながら終えることができました。

きっと素敵な「すまい」にしていただけると、お施主様の笑顔を見ながらそう思いました。

お施主様が「すまい」という作品を仕上げていくのを見守りながら、この先もすまいとしてあり続けられるよう、ご協力していければと思います。

 

今回で光届く深軒の家の現場リポートはおしまいです。

ありがとうございました。

中島工務店 香田雅紀