プロが教える家づくりのヒント HINT

家づくり

注文住宅の業者選びのコツ



住宅建築のプロが納得できる
家づくりのヒントをお話しするブログ。

最初のテーマは
「注文住宅の業者選び」です。


「あの素敵なリビングを見たのって
どこの会社だったっけ?」
「外観はあそこの会社が好きだけど
寝室の雰囲気は
別の会社の方がいい気がする」
「別の会社ってどこ?」
「いやもう、どの会社がどんな家だったか
よくわからなくなってきた・・・」

長久手Studioに家づくりの相談に
来てくださるお客様のお話を聞いていると
こんな会話がよくあります。

家づくりは最初から最後まで
取捨選択の繰り返しですが、
中でも、業者選びは
最初にして最大の選択でしょう。

一生に一度の家づくりのすべてを
託すんですから、
慎重に選びたいですよね!

業者選びで大切なのは
納得できるまでいろんな住宅会社を
見学してじっくり選ぶこと。

でも、選ぼうとすればするほど
わからなくなってしまうことが
よくあります。
 
今日は、当社の営業スタッフが
たくさんのお客様の
生の声を聞く中で編みだした
納得できる住宅会社の選び方を
ご紹介します。

 

具体的なやり方をお話しする前に、
どうして迷ってしまうのかを
考えておきましょう。

迷ってしまう原因を解決すれば、
納得して選べるはずですから。
 
そもそも家を建ててもらう業者って
どうやって探すのでしょうか。

家づくりの先輩たちが
どうやって探したのかを、
国がちゃんと調べてくれています。

国土交通省が実施している
平成27年度住宅市場動向調査の結果を
見てみましょう。
 
注文住宅の場合、
半分以上が「住宅展示場」に
行っていることがわかります。
 
知人等の紹介も3割弱います。

信用できるという意味では
間違いありませんから、
手始めに話を聞いてみると
その後の業者選びの参考になるでしょう。

ただし、友人・知人にとって
よい会社が自分にとっても最良だとは
限らない点には注意が必要です。
 
勤務先で、というのは勤務先に提携している
住宅会社があるケースでしょうか。

そのようなケースでは
割引などの特典があることが多いので、
一度は検討したい選択肢です。

ほかにはネット、雑誌、折込広告
ということですが、
このあたりは皆さん
いろんな手段を併用して
情報収集していることでしょう。

でもネット検索で自分に合う会社を
見つけるのってなかなか難しいですよね。

例えば「愛知、注文住宅」で
検索すると186万件もヒットしますし、
いろんなタイプの会社が列挙されますから、
もっともっと自分に合ったキーワードで
絞り込まないといけません。

自分が建てたい家、実現したい暮らしが
はっきりしているほど
求めている情報に出会えるのは
一般的な検索と同じですが、
家づくりを始めたばかりの頃は
建てたい家や実現したい暮らしが
まだよくわからないことが
多いから大変
です。

 
雑誌を見るときには、
自分の視点と発行者の視点が
違うことを意識しておく

掲載されている情報を
判断しやすくなるでしょう。

雑誌の誌面はとても素敵ですが、
その内容は発行者の視点で
編集されています。

発行者が設定したテーマや
テンプレートに従って
掲載内容や項目が選ばれているので、
自分にとって意味のある情報が
そこから漏れてしまっている
恐れがあります。
 
さて、ここまでの内容から
業者選びで迷ってしまう原因が
2つ見えてきました。


1.情報が多すぎる
2.自分なりの視点を持つのが難しい
 
よく似た住宅会社がいっぱいあって、
それぞれにいいところがあって、
どこをどう選べばいいのか
わからなくなる・・・。

これが多くの人が迷い込んでしまう
業者選びの迷路です。

つまり、自分なりの判断基準を
しっかりと持って情報を料理すれば、
納得して業者を選べる可能性が
高まるというわけです。

そこで登場するのが
ドリームノート
放射状に比較する
という方法です。



 

ドリームノートはその名の通り、
家づくりに関する夢を書くノートです。

「なぁんだ」と思われましたか?

名前は違っても、
この方法は聞いたことがある人も
多いでしょう。

でも、このノートは活用方法が
ポイントです。
そう、放射状に比較するというものです。

そのように活用するためには
書き方にもポイントがありますが、
まずは何を書くかを押さえておきましょう。
 
下の写真は
当社で建てていただいたお客様が
実際に書かれたドリームノートです。



他社について書かれている部分は
モザイクをかけさせていただきました。
リアルすぎますからね・・・。
 
ドリームノートには
何を書いてもかまいませんが、
ぜひ書いてほしいのはこんなことです。


□新しい家でやりたいこと、叶えたい夢
←言われなくても書きますよね。

□今の家で困っていること
←気づいたときに書いておかないと忘れます

□街中で、ネットで、雑誌で見た
「これいい!」って思うもの
←すぐに写真を撮ってください

□モデルハウスや見学会で感じたこと
←わからなくなるので帰ったら
すぐに書きましょう

□思いついたアイディア
←すぐに書いておかないと忘れます


上の写真のお客様は
いろんな住宅会社を見学したり
情報収集したときのできごとを
日記のように記録されていました。

見ての通り、写真を貼ったり、
自分でイラストを描いたりもしています。

イラストには描いたときの気持ちが
表現されているので、
あとで見直したときに
自分が心を動かされたポイントが
わかりやすいというメリットがあります。

書き方は自由ですから、
箇条書きでもかまいません。

というか、このあたりの話は
ネットで検索するとたくさん出てきます。
まとめ方のコツや
テンプレートみたいなのもありますね。

でも、あまり難しく考えずに
とにかく記録しておくことが大事です。
書いてさえあればなんとか料理できます!


 

 

先ほどのドリームノートを書かれた
お客様がおっしゃっていました。

書いているうちに自分にとって
大事なことがわかってきた、と。

ここで役立つのが先ほどの事例でいう
イラストです。
イラストを描くというのは
それだけ心が動いたという証拠ですから
イラストがあるところを
拾い読みするだけで
自分の気持ちがよくわかります。

もちろん、イラストじゃなくてもOKです。

マーカーで目立つように線を引いておいたり
付箋を貼っておいたり、
すきなシールを貼ってもいいんです。

最初のうちはなにが大事か、
どんなふうに役立つかわからないけれど
感じたことをとにかく書いておく。

その中で自分がワクワクしたり
心に響いたポイントが
わかるようにしておけば
それが自分にとって大事なことの
目印
です。

そして、ここで気づいた
「自分にとって大事なこと」が
住宅会社を比較するときの項目

なります。


 

 

住宅会社を比較するときの項目は
決まりましたが、
ここで多くの人が陥りやすいのが
ひとつひとつの会社を
候補になっている他の会社と
相対評価することによる混乱
です。

絵にしてみるとこんな感じです。
 


矢印がたくさん交わっていて、
見るからにごちゃごちゃですね。

「木材はA社よりB社がいいけど、
施工が丁寧なのはB社よりC社。

でも耐震性ならD社で、
とはいえD社はデザインが好みじゃなくて、
センスが合うのはB社だと思う。
それから営業さんが親切なのは
A社とC社で・・・」

せっかく自分にとって
大事な項目を決めたのに、
最終的にどこがいいのか
よくわからなくなってしまいました。

すべての項目で
最高だと思える会社があれば
それに越したことはありませんが、
そううまくはいかないので
こうなってしまうのは当たり前です。

これを解決するのが
軸を決めて放射状に比較する
という方法です。
 
まず、どこか1社、
軸になる会社を決めましょう。

一番気になっている会社でもいいですし、
よくわからなければ最初に見学した
会社でもかまいません。

とにかく「ここを基準にする」
という会社を決めてください。
 
あとは、その軸になった会社と
そのほかの候補の会社を
1対1で比較する
だけです。

X社を軸にしたなら、
X社とA社、X社とB社、X社とC社
という具合に比べていきます。

もちろん、このときには
先ほど確認した
「自分にとって大事なこと」という
観点から比較検討しましょう。

点数をつけるのもオススメです。



X社というひとつの会社を軸にして
点数をつけた結果、
すべての会社が同じ基準で評価されました。

すると、どの会社が総合評価が高いのか、
ひと目でわかるようになります。

X社と比較しただけなのに、
結果的にすべての会社を
相対的に比較したことになったわけです。
 
この方法には、
比較しようという心構えで見学にいくため
その会社の特徴をつかみやすくなる
という
メリットもあります。

漠然と見てまわるのではなく
「X社で聞いたことは、
この会社ではどうなんだろう」と
説明を求めにいくわけですから。
 
そうやって2~3社に絞ったころには、
住宅会社をまわり始めた頃に比べて
目が肥えているはずです。
知識も増えていますよね。

その目と知識を持って、
絞り込んだ2~3社を
もう一度見てまわってください。

きっと本当に自分に合う会社が
見えてくるはずです。


家づくりを託す業者は
納得して決めてほしいと、
選ばれる側の私たちも思っています。

一生に一度の家づくり、
これから何十年も暮らす家を
建てさせていただくのですから、
心から「この会社にお願いしたい」と
思って臨んでほしいんです。

住宅会社選びに絶対的な正解はありませんが
ドリームノートの活用は
正解に近づくためのひとつの方法です。